「それPla」と言われて [2]
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納納戦隊納本ジャー

日々記―へっぽこライブラリアンの日常―のエントリ「納納戦隊納本ジャー」にインスパイアされて勢いだけで書きました。図書館退屈男ご乱心とでも思ってご笑読ください。


20XX年。化石燃料に代わるバイオマス資源の活用が森林資源の燃料化を進めた結果、「紙」はその生産はおろか利用も政府の厳重な統制下にあった。
これは、その貴重な書物を確保する図書館の戦いの一ページである。

薄暗い路地。22時を回ったこの町では、人影も少ない。だが、カートを引いた若者が一人、また一人階段を降り地下へ。
そんな若者をひっそりと見つめる4つの目。
「若いのがカート引いてますね。いかにも重そうだ。」
「例の集会だな。本部へ連絡。」
Pi! 通信機が鳴く。「国資30より収企総括へ。集会と思しき状況現認、マル対集結中。指名中の者は未確認。指示願う。」
一瞬の間の後、返信。「収企総括より国資30へ。状況を監視しつつそのまま現場で待機。続いて、収企総括より現場周辺の国資各隊へ。周辺の主要道路、駅入口で待機、検問用意。マル対、特に指名中の3、8、12についてはその場で確保。また逃走に備えて警戒。終わり。」

国立国会図書館収集部。納本制度の根幹を守る第一線部隊。その収集企画課総括班から国内資料課に作戦開始が告げられる。
「収企総括より国資各隊へ。調立からの情報では、状況は90年代の同人誌交換を主とした武装集団「メガネの会」の定例集会と思料。幹部の8の参加が想定、国資各隊は第2種装備で待機。受傷事故に注意されたい。」「続いて収企総括より国資30へ。現在資保01が出動準備中。現着は2220時予定。国資30においては部隊展開の支援と周辺情報収集、報告に当られたし。終わり。」

「資料保存課が出張るとは珍しいですね。大物ですか?」
「そのようだな。千葉繁ファンは過激と長いアジ演説が売り物だ。油断するなよ。」
「おっと、到着のようだ。周辺道路封鎖、急げよ。」

識別名資保01。別名「納納戦隊納本ジャー」。納本制度の維持を影で支える特殊部隊。館外で知る者はなく、彼らが去った後にはカツオブシ虫はおろか酸性紙の紙片さえも残らず納本される。それが「納納戦隊納本ジャー」。

「国資30より収企総括へ。周辺道路封鎖及び付近住民の強制退去完了。続いて、資保010、011、012現着。資保013、資保014の白いワゴンは30秒の遅れ。」

Pi!Pi! ひときわ大きく通信機が鳴く。「周辺の国資各隊へ。こちら資保01。これより現場に突入する。支援頼む。」

オレンジの強化エプロンとヘルメットに身を包み、まず2人が突入。残り3人は武装ブックトラックをワゴンから降ろし、後に続く。

「何が『支援頼む』だ。いいとこ取りの特殊部隊め。俺の若い頃なんざどぶ川をさらって資料を確保したもんだぞ。」
「先輩、やつら地下に入っていきますよ。俺たちも…。」
「いいよ。面倒だ。あとは資料保存課に任せとけ。」ワゴンから完全装備の2個小隊が下車、武装ブックトラックにまたがり続々と突入する。
「国資30より収企総括へ。資保01、02、03現場に突入。」

硬い鍵で閉ざされた地下倉庫。武装ブックトラックの一撃でたやすく開く。

「全員動くな! 我々は国立国会図書館収集部資料保存課特殊資料保存班である。国立国会図書館法第23条の定めに基きその資料を収集する!抵抗する者は第25条の3により処罰する!」
「納本ジャーか!」「ええい、個人の趣味を邪魔するな!」火炎瓶が投げられる。刹那、直撃を避け強化エプロンで消火。
「抵抗は無駄だ。おとなしく納本に応じろ。」メガネをかけた学生服の青年たちが、屈強な漢たちに次々と拘束される。
「国家の犬どもが! 我々は権力に屈しないぞ! そもそも…ごふっ!」
腹部に班長の受入印一撃。
「メガネ譲りのアジ演説か? 聞き飽きたぞ。」「あぁ? 『うる星やつら メガネ至高の語録』だぁ? よく出来た同人誌だな。絵師は誰だ? 紙質もいい。おい、こいつの納本状況は!」
「未納本です、班長。」
業務用NDL-OPACと直結されたタブレットPCを操る部下が即答する。
「班長! 『北斗の拳』です! コミックス初版全巻揃い! 当館所蔵は劣化、相互貸借不可!」
「こいつぁまたずいぶんと貴重な品だな。どこで手に入れた? あぁ?」
「そいつは言えねえなぁ…ぐは!」もう一撃。青年の腹に今日付けの受入印が刻まれる。
「まあ、その辺は永田町でゆっくり聞こうか。うちの飯はサツよりは旨えぞ。連行しろ!」
続々と連行される「メガネの会」一味。平行して、資料保存課のスタッフが蔵書印押印など仮受入れ作業をし同人誌をワゴンに積み込む。

「あとは警察の仕事だな。おい、そこの国内資料課の若いの、連絡頼むぞ。」
「ああ?」班長の言に、若い方がいきり立つ。
「落ち着け。課長補佐殿の言うとおりにしておけ。出世したけりゃな。」
狭いセダンのシートに落ち着き、通信機を握る。
「国資30より収企総括へ。状況終了。資保01は撤収完了。警察の出場を要請します。終わり。」
「収企総括より国資30へ。ご苦労様でした。6時間以内に報告書を提出願います。続いて、収企総括より国資各隊へ。状況終了。警戒解除。通常任務に戻られたし。」

こうして、納本ジャーの活躍で今日も貴重な本がマニヤの手から守られた!
戦え!納本ジャー! 進め!納本ジャー! 未来の日本の文化を守れ!

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