講演、発表

山が動いた - 被災者を支援する図書館活動についての協力依頼

(追記)以下は出版社ほか権利をお持ちの方々へのお願いです。 多くの被災地の図書館では、被災者や復旧救援救護に必要な文献や図書が利用できません。被災地向けだけでも、図書館に公衆送信権及び送信可能化権を頂き、事後の電子媒体の廃棄を条件に図書館間の複写をPDFで、メール送信を認めて頂けないでしょうか。

と無理を承知で前回のこのblogで訴えてみたり、Twitterでつぶやいたり、MLで各方面に投げてから約10日。

「まあ、図書館退屈男は言うだけで交渉能力ないし」と思っていたら、思わぬところから動きがありました。3月24日(木)に文化庁で開催された「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」(第6回)にて、常世田委員より「日本図書館協会から被災地への公衆送信に関しての要望」として会議終了後にこの件についての説明と議論がありました。また、糸賀委員からも補足のコメントなどがありました。詳細は文化庁「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」(第6回2011/03/24)実況ツイートをご参照ください。すでに日本図書館協会では18日の評議員会でこの件は決定していたようです。

この場での議論で、著作権者側委員などから賛同の発言があったことなどから、法改正ではなく「図書館と権利者で調整」ではどうか、という方向性が見えました。

そして本日、3月25日付塩見理事長名で日本図書館協会より権利者団体に対し「被災者を支援する図書館活動についての協力依頼―被災地域への公衆送信権の時限的制限について―」として依頼文書が出されました。

日本図書館協会から依頼した許諾の内容と条件をまとめると、以下の通りです。

  1. 被災者や被災地の図書館や病院等の公共施設等、また救援活動を行っている団体や個人などへのメールやFAXなどによる複写物の送信
  2. 被災地の乳幼児への絵本の読み聞かせや、高齢者向けのお話し会の実施や、これらの中継、これらの様子を録音録画したものの配信、絵本の版面の公衆送信
  3. 上記2点は震災による被災のため資料、情報の入手の困難な期間および地域に限定し、被災地の復興がある程度なされた段階で複製物等は廃棄する

いや、#jishinlib で議論されていた内容がこのように日本図書館協会からの依頼となるとは、思っても見ませんでした。別にここで書いたから、ということはまずないと思いますが、喜ばしいことです。

上記の依頼文書のページには「各図書館において、被災地からの要請に積極的に応えることが期待される。」とありました。我々はこれに応えるべく、活動する時が来たのでしょうか。

この場にて再度お願い申し上げます。権利者各位のご協力をいただけましたら幸いです。


さて、地震発生前に寄稿させて頂きました原稿が、2本とも無事出版されました。よろしければご高覧ください。

また、第5回 Code4Lib JAPAN Workshop「めざせ!図書館発、USTREAM中継!~基礎から、集客ノウハウまで~」(コンテンツ作成コース)(リンクはtogetterによるTweetのまとめ)にて講師を務めさせて頂きました。ちょうど先の依頼文書の2に利活用できそうな内容でした。また、開催が関西と言うこともあり、しばらくぶりに余震の心配のない夜を過ごすことができました。お招き頂きました大学図書館問題研究会の関係各位にお礼申し上げます。


第10回図書館総合展(3日目)

 図書館総合展も3日目。相変わらず午前中は人影薄く。
他社ブースを見て回るも、「出展者」の名札には声もかからず。

お昼はブース裏の売店でお弁当を購入。3日間連続。良心的価格がありがたいものの、ちょっとさみしい。

3日目はフォーラム等参加がメインで、まずはProject Next-Lのセッション、「日本初のオープンソース図書館システムでワンパーソン図書館を動かす-田辺がいなくても、システムは動くのか?-」。
本人が知らないところで開発者名入りのサブタイトルが付いているあたりがアナーキーかつバザール型開発の醍醐味(すごく違う)。

…受付に行列ができている!すごい人気だ!
お手伝いもあるのでささっと場内へ。で、某先生から「PCある?」と聞かれる。「CD-Rを焼くのが間に合わなくて」「印刷したメディアはあるけど焼けてない」ThinkPadはあるけれど、CD-Rドライブなんて今日は持ってない。「そうだよねえ」いや、普通そうですよ、先生。

発表(という名の原田先生のマイク不要ハイテンションアジテーション)と(田辺さんのcoolな)デモ。動と静。ThinkPadとMacBook。何か対照的。

INFOPRO2005で原田先生と出会い「何か」に巻き込まれ、2006年11月にProject Next-Lが立ち上がり2年。ようやくプロトタイプが配布できるところまで来るとは。感慨深く発表を拝聴する。願うだけでは叶わない。奇跡は待っても起こらない。「物」があれば試して議論もできるというもの。CD-Rを受け取った方はぜひご意見を。公式サイトですぐに焼ける.iso形式ファイルも配布中です。次は3月に都内で発表予定です。

セッション終了後、「ず・ぼん」でおなじみポット出版の編集長氏からお声をかけていただく。名刺交換。2日目のフォーラムもご聴講いただいたとのことで「一番面白かった」とお褒めの言葉を頂く。フィードバックをいただけるのはありがたい。聞けば、版元ドットコムでも書誌情報の無償提供を行っているのこと。志は同じ。連携してゆきたいところ。

続いては第2回ARGカフェ&ARGフェスト。配布/PR用に弊社ノベルディ(初回限定生産再販なし)を両手に抱え、待ち受けるはライトニングトーク。持ち時間わずかに5分。詳細はid:min2-flyさんのblogをどうぞ

発表の中では、「日本の大学院からのILL申し込みで困ること」(グッド和代さん/ピッツバーグ大学附属図書館)で触れられたRAPIDILLがスゴイ。元は台風で壊滅的被害(写真あり)を受けたコロラド州立大図書館が、蔵書を復活させるよりILLでフォローするために、Webでの受付とPDFでの返送システムを整備、これを相互利用してもらうことで自館も他の図書館も迅速なILLが実現、という仕組み。思わずお話を伺いながらEM-OMEで http://rapidill.org/ にアクセス。"Average Turn Around Time (Days): 0.62"ってどういうことよ。半日ちょっとで文献が取れるってこと?!。シビレル。日本でもこういうシステムがほしい。ていうか電子化した論文を持っているところは入るべきなのか?食指がああああ。

ところでみなさんちゃんと5分で話がまとまっている。自分…原稿すらない。全くのアドリブ。緊張。

今日のネタは「大学院に入ってみました」。4分30秒分を一行でまとめると以下の通り。

査読つき論文をとっとと書かないといけないのに、忙しいです。挫けそうです。力をください!

視界には岡本さんの持つストップウォッチ。04:30の数字が見えた。今だ!キメ台詞を!

みんな、持ってって! 銀河の果てまで! (ノベルディ的に)

(と言おうと思いましたが連れ合いからダメ出しがあり自重。でもつくば系はてなー各位には大ウケ。それみろ。)
と普通に初回限定生産ノベルディを「持っていって!ぜひぜひ!お一人何個でも!」とアピール。でちょうど5分。ありがとうございました~。

ライトニングトーク終了後は自社ブースへ取って返し、最後のご案内と後片付け。結局、配布できた資料は昨年比△50%。人の流れが悪かったのが敗因か。

18時。閉場。蛍の光。拍手。そして自社ブースのブレーカを落とす。今年もありがとう。

感傷に浸る暇もなく、次はARGフェスト会場へ移動。1次会はイングリッシュパブ。ギネスおいしいよギネス。
直面する課題を赤裸々に語ったライトニングトークはインパクトがあったようで、「実は私も大学院で」という体験をたくさん伺うことができ、励みになりました。ありがとうございました。

第2回ARGカフェ&ARGフェストの詳細はARGサイトとまとめリンクでお楽しみください。


では、3日間を総括的に。

前年比でフォーラムは倍、展示スペースも倍、会場は分散、でも来場者は数%増ではフォーラムに人がとられてしまい、展示に人が来ないのもむべなるかな。なんとかならかなったのでしょうか。動員が悪いと翌年の出展を見直し、と言われても仕方がありません。

年々知り合いが増え、受身の情報収集だけではなく図書館と関係の人々が集まったり情報交換ができる場所に図書館総合展は変化しているように思います。3日間で2万3千人と動員数だけ見れば、すでに図書館大会(2日間、約1900人)を凌駕しているわけですし。

また、大学など図書館関係の出展や、今年から始まったポスターセッション(来年もありますよ)もこの流れを加速するものでしょう。

一方で、弊社ブースに図書館退屈男目当てに来ていただける方も多く、不在などで失礼がございましたら平にお許しください。本当は、来ていただいた方と今度は弊社スタッフとを繋げて行かないと、と思うのです。もっと広がりを持って、情報と人脈は共有しないと。弊社は自分だけ出回っているわけではないのです。


第10回図書館総合展(2日目)

特別じゃない、どこにでもいる普通の図書館員。それが図書館退屈男。

さて、図書館総合展2日目は午前のフォーラム、知的資源イニシアティブ主催の「もうOPACなんていらない!? -Google時代の文献検索と目録サービス」で発表のほか、午後はブース。

午前のフォーラムでは、主に「OPACはどうなるのか?どうすべきか?」についてそれぞれの立場から自由に論じる、ということで、大雑把に発表内容をまとめてみた。

○高野先生(国立情報学研究所)「『連想する場』としての図書館 -情報を発想力に変える空間-」

  • ネット上の大きな情報とどう対峙するかというテーマは、膨大な資料を有する図書館においても同じ。そのためのツールがOPACである。
  • 「専門知識を要求しない情報サービス」のために、連想検索という手法を用いている。検索結果の中の正解や結果を要約した関連語から再検索するなど、利用者からのフィードバックを得つつ精度を上げてゆく。
  • 「連想の場」としての図書館レファレンスを実現したい。例えば「想(IMAGINE)」では、本の情報と本以外の情報とを関連付けるほか、本以外で得た情報を本の情報に関連付けている。分散管理されている多数の情報源を動的に融合し、主体的な情報収集と発見を支援する。
  • OPACはディレクトリサービスのひとつであるが、時代に合わせて変化してゆくべき。新書マップなどの試みはその変化を指向している。

○[図書館退屈男] 「OPACの使われ方を変革する2つの方法」

  • 目録にない情報は検索できない。現在のOPACは「在庫管理システム」。
  • OPACを変革する2つの方法
    • インターネット上のデータ群と連携、これを利用する。
      • 例えば、国立国会図書館のPORTAはシステム間の連携用インターフェース(API)を提供している。NIIもCiNiiで実装しようとしている。amazonはこの機能があるのでオンライン書店でありながら「書誌データプロバイダ」ともなっている。
    • 他のシステム、インターフェースから利用しやすくする
      • 「利用者は必ず図書館のホームページから来る」という発想は捨てよう。
      • igoogleやFirefox、IE7のプラグインからでもOPACは検索できる。
  • 書誌データにはPermalink(固定リンク)を割り当てよう。URLが固定されるので、リンクが容易になるほかGoogleなどの収集ロボットに拾われ、検索される可能性が高まる。
  • 異なるインターフェースから検索しても、最終的には自館のOPACの情報に行き着く。これが目指すところ。

○千野信浩さん(週刊ダイヤモンド編集部記者) 「棚の力」

  • 棚の「か」じゃありませんよ、「ちから」です。(笑)
  • 図書館で調べることは「何を調べるべきか」「調べるべき何かはどこだ」の2つ。
  • 出口、テーマが「まったくわからない」場合は図書館に行って棚、背表紙をみてさまざまな資料を発見しそこから発想をする。
  • OPACでの検索では書誌情報が得られるだけではない。タイトルから関連するキーワードを発見し、そこから連想的に違う検索後が見えてくることもある。
  • ある程度テーマが見えていればWebCatPlusの連想検索でで深く掘り下げる検索をする。
  • 一定程度の規模の図書館の方が情報が絞られている分かえって探しやすい。
  • amazonと宅急便の発展でオンラインからOutreachサービスが可能になった。図書館も変革を迫られている。ここにに重心を置くべき。
  • 棚作りは重要。たとえば闘病記を一箇所に集めるなど、内容で資料を集約できる。OPACはそこを支援するものだと考える。

図書館的なキーワードを使えば、高野先生や千野さんのアプローチは「ブラウジング」と言い換えることもできる。例えば背表紙が表示できる新書マップからは多くのヒントが得られるだろう。フロアからも同様に「背表紙から得られる情報は大きいが、現在のOPACではそれができない。」という指摘もなされた。
この点については、leva, "ウェブ上でよく出くわすあの光景って本当に「あるべき姿」なの?", Liner Notes. 2008-11-20. にて、「本の大きさ、厚さ、書誌形態などの情報は本を選ぶ上で結構重要な情報で、そういう情報を半ば無意識的に本棚から得ている」としてこれら形態に関する情報をビジュアルに表示することで仮想的に書籍の実体を表現する方法が提案されている。

出版社の方からは「自然科学系の参考図書では参考文献リストが重要。これらがリンクされればより価値の高いサービスになるのでは。」との意見もあり、高野先生からも「参考文献は資料のレコメンデーションにおいても重要な情報。」とのコメントがあった。個人的には、参考図書とあわせて10%割り増しでもよいので目次や引用文献リストのテキストデータを売ってもらえればOPACに放り込めるので大変便利なのですが。今度提案してみよう。

お二人の発言が「OPAC内の情報をどうやって利用者のほしい情報に近づけるか」についてのヒントになっているのに比較し、図書館退屈男からは「OPAC内の情報をどうやってよりリッチにし、かつ多くの利用者に提供できるのか」という提案になっているなど、微妙にベクトルが違う発表になってしまった感が。「空気読め」とまではいかないものの、もうちょっと利用者側のイメージが見えるような内容にすればよかったのかなと反省してみたり。(資料の公開については事務局と調整中です。)それでも、何かのお役に立っていればうれしいです。ぜひご感想などをお寄せください。

午後の自社ブース。雨のせいかそれほど来場者は多くないものの、さすがにフォーラムの間には接客に追われる。
その中でも、自分の母校の学生さんに出会えたことがちょっと衝撃。というか感動。司書課程を取っているとはいえ、この雨の中図書館総合展に来て情報収集しようという姿勢、応援したくなりました。

その他、午前のフォーラムの発表のせいか、ご指名をいただくことも何件があり、訪ねていただけることをいつもありがたく思っております。

早いもので図書館総合展も残りはもうあと1日。Next-LとARGカフェに参加することがメインになりそうですが、午前中は展示ブースも見て回りたいなあ。


INFOPRO2008で発表してきました

11/13-14に日本科学未来館で開催された第5回情報プロフェッショナルシンポジウム(INFOPRO2008)で発表してきました。今回のお題は「リンクリゾルバの多面的活用」です。

INFOPROへでの発表は2005年以来。今思えば、あの時の発表と「情報管理」への記事掲載その後の数年を方向付けたといっても過言ではありません。

予稿とスライドは追ってJ-STAGEで公開される予定ですが、発表内容は主に「Webブラウザからのリンクリゾルバの利用」ということで、FirefoxプラグインLibXからの利用、またRSSリーダにDOIなど書誌情報入りのfeedを解釈させてOpenURLを生成、リンクリゾルバにリンクさせる取り組みについて取り上げたほか、自機関DBからの他機関のリンクリゾルバへのリンク対応などについてご紹介しました。

とはいえ、リンクリゾルバを利用している機関はまだまだ少ないようで、同じ日のご発表、黒沢俊典, 松田真美, "医中誌WebからOPAC, リンクリゾルバへのリンクの現況"によれば、医中誌Webからの外部リンク設定345件のうちリンクリゾルバは64件(16%)と、OPACからのリンク(217件, 63%)と比較するとまだまだ小数に留まっています。正確な数値は持ち合わせていませんが、おそらく国内全体でも同じくらいの割合なのかもしれません。

となると、発表も絵に描いた餅なのかも、と不安に思っていましたが、当日夜に別のblog(高久雅夫, "文献情報ページにCOinSを埋め込んだ ", まさおのChangeLogメモ. 2008-11-15)で、「発表にインスパイアされて」として、COinS(<p><p>OpenURL ContextObject in SPAN (COinS)</p></p>ContextObjects in Spans: SPANタグにOpenURLを記述してHTMLに埋め込む手法)のメタデータ情報を付与したサンプルを発見しました。COinSについては見過ごしていたのですが、こういう利用法もあるのかと勉強させていただきました。LibXはCOinSにも対応しているので、さらに応用範囲が広がりそうです。

ともあれ、自分の発表が誰かの発想の種になったことは嬉しいものです。


今年も図書館総合展にGo

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溢れる想いは流線型、図書館退屈男です。

今年も図書館総合展の季節がやってまいりました。そして例年通り前日準備を含め4日間通して横浜にいます。弊社の出展も4年目になりました。会場出口付近、NIIさんのおとなりで営業しますのでぜひお立ち寄りください。

今年は自社ブースでのご案内もさることながら、フォーラムも盛りだくさんなので会議センターと行ったり来たりになりそうです。

とりあえず予定です。

…書き出してみたら例年にも増してヘビーなスケジューリングであることに気づきました。

なお、「もそもそと苦言を呈したい」など図書館退屈男の中の人目当てで弊社ブースへ来場ご希望の方はコメント欄等にてお知らせください。できるだけそのお時間を空けてお待ちしております。


第24回 医学情報サービス研究大会(2)

朝が来た。やっぱり朝から暑い。ここは九州。耐えられずにタクシーで会場入り。

今日は9時からチャペルで日曜礼拝が開かれる。パイプオルガンが聞きたいなあとか思いつつ機器の設定や接続確認などしてあっというまに発表の時間がやってくる。

時間前からぱらぱらと人が集まりつつある。何もしないのももったいないので、YouTubeにつないで「ねこ鍋」&メイキングをエンドレスで流す。まさにWeb2.0でConsumer Generated Mediaな事例。

礼拝が押したようで、10分遅れでスタート。「「ねこ鍋」&YouTube=ユーザ参加。これまでにない事例。これがWeb2.0。」これが今日のつかみ。続いて畳み掛けるように昨夜作ったスライドとデモ敢行。そして本題へ。「Web2.0時代の新たな図書館サービス」ということで、Web2.0の概要から弊社におけるRSS関連の取り組み、これをベースにしたOpenSearchやタグクラウド、ブラウザ検索用プラグイン、Plaggerでまとめたfeedのblogへの自動投稿など、OPAC2.0な取り組みをまとめてご紹介。今までの総まとめ的に。

時間は約60分を予定。しかし手元の時計と残りスライドから判断すると足りない。明らかに時間が足りない。昨夜に作ったスライドの分ぐらいは延びている。どう見ても蛇足だった。あああ。でも喋りは止まらない。止められない。ノンストップマシンガントーク。参加された方から、熱心にお聞きいただいている空気が伝わってくる。ありがたいことです。
演台へそっと差し出されるメモ。「あと10分で終わってください。」事務局からタオルが投げられた。
話題を何とか収束させる。やっぱり10分強超過。スタッフの皆様ごめんなさい。

せっかくなので、「現代の図書館」49(2)の林原稿抜き刷りをJLA非会員の方限定で配布。何名かの方は直接取りに来て頂いた。お読みいただいてありがとうございます。ご感想などお寄せいただければ幸いです。

一般講演、写真撮影の後昼食。食券制で事前販売だったので実行委員の方に残りを伺ったら、事務局の分をお譲り頂いた。ありがたきご配慮。
最上階の食堂でNDLの友人と歓談しつつ本場のトルコライスを食す。やっとひといき。

実行委員の皆様、本当にお世話になりました。この場をお借りしてお礼申し上げます。特に川蝉さん、お話できてうれしかったです。
来年のつくば大会では精一杯働かせていただきます。(なぜか実行委員になっているわたくし。)

しかし、本当の悲劇はこの後訪れる。
(まだ続くよ)


第24回 医学情報サービス研究大会(1)

一ヶ月もたってから記事を書く無精ぶり。すみませんすみません。

慢性的ネタ不足とともに降り立つは長崎空港。雨上がりの晴れ模様。暑。
高速バスで市内に入り、いったんホテルにチェックイン。そして会場へ。

今日の会場はオランダ坂の途中。というか急坂の上。坂→(校門)→階段→坂のコンボ。ああ、見晴らしがいいよ。影が濃いよ。まだ夏だ。
ようやく会場の校舎へ。途中で実行委員の方から資料一式を頂く。

もう午後もそれなりの時間なので、ポスターセッションダイジェストとプロダクトレビューを聴講。最近はオンラインジャーナルに加え、電子ブックの紹介が多いように思う。
その後、企業展示などして情報収集。顔見知りの担当の方も多く、「明日の講演、楽しみにしてますよ~。」とプレッシャーをかけられる。Help me。

別室でちょっと休憩。NDL関西館の友人がJLA委託図書を絶賛販売中…ってお客いないよ。気づいたら医図協さんからも含め2冊お買い上げ。「健康・医学情報を市民へ」(奈良岡功[ほか], 医図協)と「公共図書館のための消費者健康情報提供ガイド」(アンドレア・ケニヨン[ほか]著, JLA図書館実践シリーズ 6, JLA)どちらもネタは健康情報。30も半場を越えると気になりますよね。じっと腹部を見るこのごろ。

懇親会は長崎水辺の森公園のレストラン。イタリアン。ピアノ生演奏有り。おしゃれ。さらに「明日の講演、期待してます」とプレッシャー。でも食事はおいしく頂く。

すっかり和やかな雰囲気でお開き、ホテルへ戻る。

ネタだよ。どうしよう。昨日に引き続きWWW::OpenSearchと格闘。なんとか見せられるものができた。ついでに高橋メソッドで説明用スライド追加だGoGo。
(続く)


名古屋行ってきました

行ってきました平成18年度第2回東海地区大学図書館協議会研修会(3/7) 。「台湾ラーメン」が大学生協内のローカルメニュー(と後輩に聞いた)でなく、名古屋ワイドなソウルフードであることが確認できた出張でした。

ARGの岡本さんの基調講演はWeb2.0の様々なイメージを類別して解説いただいたと共に図書館が抱えるデータの開放についての提案あり。これはディスカッションで大きな話題に。

附属図書館研究開発室の寺井さんの講演は興味を引きました。利用者の情報探索活動について認知科学の手法を用いて実験した結果についての講演で、結果としては、探索の目的が明確になっているグループが探索課程の中で情報源をバランスよく利用する者が多く、問題の捉え方自体が大きく変化してゆくこと、また検索キーワードも増加かつ変化しより深い情報ニーズが発生するとのこと。

レファレンスにおいては調査の課程で情報ニーズが変化すること、また探索対象が寄り明確になることが経験的には理解していたが、実証的な実験でこれが明らかできる、ということに驚きと新たな視点を発見。

で、自分の講演。
つかみに、myrmecoleon氏謹製の「所蔵館マップ」(Google  MAPとWebCAT Plusを組み合わせ、ISBNを入力するとGoogle MAPで所蔵館を表示するシステム。今日見たらNDLの「ゆにかねっと」が追加されていてびっくり。)を紹介。まず「Web2.0はハッタリじゃない。図書館員の手の届く技術だ。」ということを見ていただく。

そして、Web2.0そのものは岡本さんに説明していただいたので、さらに印象付けるためにhttp://www.ark-web.jp/blog/archives/2006/04/clip_web_20_1.htmlを紹介、これでもう「リッチなユーザ体験」「ハッキングが可能」と聞いたらあのネコが浮かぶ人多数。
 
その他、いつものようにRSSによる書誌情報出力、これから派生したタグクラウド、blogへの自動投稿などについてデモと講演。タグクラウドは注目を集めていたように感じましたが、実装というか「見せ方」が難しいなあと職場に戻ってから再考。難しいなあ。

ディスカッション。やはり岡本さんの「図書館の利用履歴をうまく利用すべき。」との提案には、「図書館員の倫理綱領(1980/6/4 日本図書館協会総会決議)」中の「図書館員は利用者の秘密を漏らさない。」との整合性について議論となった。単館における貸出傾向等の把握は当該地域の読書傾向をも明らかにする可能性もあることから、複数館のデータを収集した方がよりより活用ができるのではないか、などの建設的な提案もあったが、「利用者履歴は活用すべきでない」という意見が多くを占めている印象を受ける。

岡本さんからは「ISPでは当然ながら利用者情報を多数持ち、それらは厳重に管理されている。民間企業にできて図書館でできない理由はない。」との発言があったが、正にそう感じる。
当方でも、貸出情報や文献複写依頼の記録が図書館システム上に、また利用者情報は全システム分が一括して管理されている。当然のことながら、利用者情報を管理するサーバ(他のサーバもそうですが)はアクセスできるマシン、人間、ネットワーク経路など様々な面で何重にもガードしている。「個人を特定できる情報」を切り離して取り出せば、とも思うが、どんな雑誌/文献が多く読まれているかを研究室単位で識別でき、それが公開されると研究分野によっては大きな影響があるだろう。TPOを考えてデータマイニングをすべきか。

RSS関連では、取得したRSSフィードの再利用について著作権の観点から問題はないか、との質問があった。
現状では、例えばThe University of Chicago PressのようにRSS Terms and Conditions of Use にて

2. Individuals may use the RSS Service for personal, non-commercial purposes only. All others must obtain our express prior written consent.

と明記している出版社もあれば、特段の記載がないところもある。
朝日新聞社でも

asahi.comのRSSは、個人でのご利用を前提としています。次のようなウェブサイトでのRSSのご利用については、有料にさせていただく場合がございます。詳しくはお問い合わせフォームからお問い合わせください。
(1)企業・官公庁など法人のウェブサイトやイントラネットでの利用
(2)宣伝PR・広告などが掲載されているウェブサイトでの利用
(3)asahi.comのRSSを利用したサービスの提供
(4)その他、営利を目的とすると判断される利用

と記載がある。
これに対しては、「利用制限について特段明記されていない場合については自由に利用できる、またその様な理解をデファクトスタンダードとして広める必要があるのではないか」と回答し、岡本さんからも同様の意見を頂いた。少なくとも、RSSでは発信者側でどこまで情報を載せるか、タイトルだけなのか全文を含むのかをコントロールできるので、そういう理解で進んで行くのがよい、という意見もあった。
Webページがいつのまにか「リンクしたらご一報ください」がマナーになってしまっていたようにならないよう、RSSの活用による様々な可能性が生かされるような方向で考えてもらえれば、と思う。組織的にデータベースを再構築されて販売、というのは避けたいけど。
ディスカッションも盛り上がり、大変勉強になった研修会でした。
お話の機会を頂き、ありがとうございました。関係各位にお礼申し上げます。


後から、講演要旨の作成用に当日の録音をmp3で頂いた。自分の声を聞くのは好きではないのですが、「つかみ」の部分で10分を要していたことが判明。それできっちり10分時間オーバ。やはり次回からはオチ重視で望むべきか。


Hello, NAGOYA City, How'er you doin' (2nd)

 セミナー2日目。行きのタクシーの中で、今日の進行について打ち合わせ。今日いらっしゃる講師の講義の後は、グループ毎にこれらのツールで何ができるか、などをディスカッションしてもらい、それをwikiでまとめて発表することとした。

 前半は講義。今度は利用者サイドから見たWeb2.0について。mixiの画面経由でこのblogを紹介していただく。画面を見て眠気が一瞬で吹き飛んだ。各位にはとりあえず忘れて頂きたい。

 ディスカッション中は時々グループ間を見て回りフォローを入れるほか、回線とサーバの稼働状況をチェック。無線LANへの接続台数は12台ほど。pingで計測したサーバからのレスポンスは1msから10-12msに低下。体感的なレスポンスもちょい遅め。サーバのCPU負荷はそれほどでもない。apacheもリクエストをちゃんと捌いている。とすると、ボトルネックは無線LANルータ。見せてもらおうか…新型ルータの性能とやらを。普段なら「こんなこともあろうかと」ネットワーク担当のスタッフをコールするのだが、ネットに繋がっていないこの地では何のフォローも期待できない。(筑波に戻ってから相談したが、「その環境だとcollisionを起こして当然。」とばっさり切られる図書館退屈男。次はもう一台ルータを持ってゆこう。)

 ディスカッションの終わりに、「補足」として高橋メソッドでXAMMPの説明。「自分のPCでwikiをしたい人のために」と題してフルスピードトーク。さすが高橋メソッド。さくさく進む。で、文字の小さいところでストップがかかる。「後でこのスライドは頂けるのでしょうか。」とか「(別のところで見せたいので)できればこの環境をそのままに。」という要望が多いため、とりあえず来年ぐらいまでは今日の環境にアクセスできるようにする旨を連絡。
 
 そしてはグループごとの発表。スクリーンに各グループがwikiでまとめた内容を写しながら説明(操作は私)。昔は模造紙だったりホワイトボードを使っていたことを考えれば隔世の感あり。まとめもやりやすかったのではなかろうかと勝手に推測。

 解散。午後は希望者のみ産業技術記念館の見学。こちらは参加者のPCのhostsファイルを元に戻したり配線を解いたりPCを梱包したり。バタバタ。ケーブルを束ねるワイヤーの20mリールカッター付(商品名:OAねじラ~。サンワサプライ、品番CA-611W。)が「こんな便利なものがあったのか」と意外な人気。標準価格399円と安価なので一家にお一つオススメしたい。

 後片付けもひと段落し、こっそりアンケートを盗み見る。やはり講評は気になるところ。「グダグダ」とか言われたら帰れない。ところが、自由記入欄は「実習が楽しかった」「自分でもチャレンジしたい」と高評価。ありがたい。他の委員からも「過去にない画期的なセミナーではなかったか」との声も。報われた気もしたが、やはりネットワークが届かないのは痛かった。いろんな意味で。

 片付けの後は、講師3人で名古屋駅で昼食。JRセントラルタワーズのクマが気になる。後で調べたところ、あのクマはイルミネーションになるらしい。かわいいじゃないか。
 後ろ髪を引かれつつランチ反省会。「やはりネットは必須だろう。」「XAMMPで実習しなかったのは正解。クライアントとサーバは別でないと受講生は*確実に*混乱する。」御意。Windows上でWebサーバを立てたところで、URLがlocalhostがローカルのパスかだけで80番ポートを経由してサービスを受けているか否かは実感しにくいだろう。あまつさえIEならエクスプローラと変わらなく見えるかもしれない。きっと。

 講師は皆忙しい。足早に東京へと戻ってゆく。
 図書館退屈男は…3月までの上司から「豪華松阪牛のホルモン焼き」へのお誘いを受け津へ移動。まだ旅は終わらない。Hello, TSU City, I'm comin' back.

 次の名古屋公演は3月。もうちょっとお待ちください。ネタどうしよう。


Hello, NAGOYA City, How'er you doin' (1st)

 インターネットに接続されていない環境で「Web2.0を体感」するセミナーを専門図書館協議会秋季セミナーで開催。
 講師をするほか環境構築も任された。これが今回の名古屋でのミッション。

 Web1.0以前の状況で何ができるのか。でも2.0的な何かを体験してもらう。相変わらず無理な注文が降って来る。誰も止めなかったのか。
 とりあえず、サーバ-クライアント環境を基本とし、会議室内で無線LANをメインにクライアント6台を接続、サーバはいつも職場のテストで使っているPC-98NX(XP+TurboLinuxデュアルブートモデル。今はFeroraCora4に入替。)を使用することとした。何かあった時に自分で構築したマシンなら何とかなると思う。

 ソフトウェア。この環境ではGoogleMAP+ホニャララなマッシュアップでAJAXな事例すら再現できない。ここは一つ「集合知」ということで、参加者を6つに分けたグループ毎にWikiとBlogを構築、そしてその更新情報をRSSリーダで取得。なんとなく2.0ライクだ。(FreshReaderを試用期間中に使用しました。サイドフィード株式会社様、ご協力ありがとうございました。)
 他の二人の講師の方々には、「外部への接続は出来ないが室内でLANは組む」と連絡。当日参加するスタッフにも、「お試し版」として当日の環境のプロトタイプを提供し使い勝手や当日の実習のイメージをつかんで頂く。それぞれ、普段使い慣れないソフトウエアだけに戸惑いもあった様子。さすがにマニュアルなしでいきなりPukiwikiは厳しかったようだ。急ぎ補足資料を作成、紙ベースでwikiの記法やプラグインの解説を加える。

 自分の発表は例によってRSSとOPAC2.0の話題+ライブラリー内でのWikiの活用事例について。「Web2.0とは」という話題は他の二人の講師が担当してくれる。事前に資料をいただき拝読したが、うまく実習に繋がればよいと願うのみ。

 ふと、前日になってXAMMPの存在を思い出す。そうだよ、これがあれば別にマシンを用意してサーバを立てなくてもlocalhostでapache+PHP+MySQLな環境が作れるよ。しかしこれを普通の図書館員に「やって」というのは多少酷か。「参考」として紹介する程度にとどめることにして、行きの新幹線の中で高橋メソッドなスライドを30分で作成。

 着いた会場は産業技術記念館。規模と展示品にトヨタグループの歴史と力を思い知る。正直、甘く見ていました。関係者の皆様ごめんなさい。

 お借りした会議室に電源タップを引き回し、PCを設置し無線LANを接続。通信環境良好。事前に「無線LAN接続可能なPCを持参していただければ自分の環境でも実習ができます。」と連絡してあったので、来場した参加者持参PCのhostsファイルを今回の環境用に書き換え。DNSサーバもないので原始的だが確実な方法。

 講義は無事終わる。一日目の講師は以前専図協で研修委員として協力していただいた方。参加者向けに上手にブレイクダウンさせた講義。さすがだ。

 自分の講義の後、1時間程度の実習。
 環境とソフトウェアの概要説明をしていたところ「で、何をすればいいの?」と参加者から質問が挙がる。そうだ。実習用のwikiやサンプルのRSSフィードのリンク集は作ったけれども、具体的な作業指示はしていない。「まずはwikiで自分の機関の紹介などを協同して書き、慣れたらRSSリーダで他のグループの更新情報を確認してほしい」と指示。
 2グループで一つのwikiを更新してもらうことにした。その方が「どこからでも、だれでも更新し情報共有ができるweb」としてのwikiを理解しやすいと考えた。
 講師二人で各グループのヘルプに回る。やはり進み具合には差が出る。wiki独特の記法も、「簡単」と「難しい」と反応が分かれる。その都度フォローアップ。進行の早い班はRSSリーダなどにも取り組んでもらう。わいわいと実習は進んでゆく。雰囲気はよいようだ。
 ネットワークやサーバのレスポンスはいま一つ。どこがボトルネックか、明日は調べよう。
 
 そして終了時刻。すでに定刻は過ぎていたが、次に懇親会も控えているので今日はここまでとする。
 司会から「いろいろな情報が入り、頭が「もやもや」としていることと思いますが、そのあたりは明日の講義と実習ではっきりとしてください。」として締める。

 懇親会。今日の感想を聞いて回る。「面白かった!」と興奮気味に語る方や「ちょっと盛りだくさん」などの感想を頂く。先日の大阪でのセミナーを企画、また参加した方も参加されていたのでご挨拶。「(大阪に続き)今日も早口の進行ですみません」と挨拶するも、「前回のセミナーも、『(図書館退屈男の人は)早口だけと内容はよいので』として推薦したのですよ」と返される。もう全国区なのか。で、「次回は、録画して0.5倍速で再生してみてください。それてちょうどいいと思います。」…自虐的なジョークだ。でも受けた。
 
 翌日の進行に不安を感じつつ、名古屋駅前のホテルにチェックイン。そしてスタッフを中心に隣の居酒屋で2次会。名古屋の夜は長い。(続く)