図書館界動向

海老名市立中央図書館に行ってきました

日々記―へっぽこライブラリアンの日常―の中の人と海老名市立中央図書館に行ってきました.館内のようすとかも前後編豪華イラスト入りで紹介されておりますので,併せてご参照ください.

CCC及び図書館流通センター(TRC)の共同事業体による指定管理者での運用で2015年10月にリニューアル,すでにメディア等でその分類や選書について議論がある図書館である.

建物のロゴからWebサイトに至るまで統一されたフォント.静かな空間とさりげないBGM.暖色系で統一された照明.そんな空間で飲み物を頂きながら居心地のよい椅子に座って勉学に励み読書をする.公共施設によくある創英角ポップ体で書かれた統一性のない注意書きなど張り物はない.年中無休.

それで一体何が悪いのか.夕方の館内に空席は少ない.スターバックスからか,「こんばんは」の声が静かに響く.

確かに採用されているライフスタイル分類はNDCに浸かった頭では一見,わかりにくい.明らかな分類の誤りも散見される.だが背ラベルとは別に背表紙に詳細な分類が記されているので配架はおそらく困らない.サインもしっかり書架にはなされている.あとは慣れの問題だけなのか.

館内の一カ所に腰掛ける.円形の2階ホール.見上げる書架の手が届かない上層には「神奈川県史」などの郷土資料.下層には料理・食材の図書が並ぶ.そこで返却本の再配架のようすを眺めていた.

同じ職員2名程度が資料を小脇に抱えて繰り返し配架に訪れる.量があるならブックトラックで資料を運び込んでまとめて返却したいところだが,そうではない.見るとほかの職員も両手で10~20冊の資料を抱えて階段を上がって別のフロアへ移動している.書架間隔は芯々距離でおおむね180cmはある.少なくともこのホールではスペースの問題は無用に見える.「雰囲気」優先で大きなブックトラックの運用を避けて手で配架を行っているのか,ため込まずにスピード優先で配架なのか.

料理本のコーナーなので著名な料理研究家が並ぶ.ケンタロウ先生の早期の回復を祈りたい.著者ごとにサインが用意され,次々に図書が配架されてゆく.サインもなくまとめるほど冊数のない著者の本は……上位の分類の最後の位置に戻されていた.ライフスタイル分類では同一分類内での相対位置の定義があるのかないのか.書店らしい.

郷土資料や灰色文献は別のエリアではガラスケースの中に,そして「STAFF ONLY」の扉の向こうの閉架書架にちらりと見えた.ガラスケースの中には複本が見える.「禁帯出」のラベルのあるものとないもの,2冊.以前の運用を想像する.一冊は郷土資料室に配置して禁帯出,もう一冊は通常の配架で貸出可とすることもできる.それがここでは一カ所にまとめて配架されている.わざわざ一カ所にした意図は何か.

それだけではない.たとえば「相模鉄道四十年史」.出版者は相模鉄道,おそらく非売品で寄贈で受入,だろう.OPACでの請求記号は「T/2-68//」.NDCではない請求記号から,「鉄道」ではなく郷土資料として分類,別置していた可能性が読み取れる.所蔵場所は「3階R内側」.おそらく,あのドームの内側,手には取れない場所にある.NDCでもライフスタイル分類でも分類はできるはず,だが.

他の手の届かない書架にあるディスプレイと化した図書……全集類や辞書辞典.確かに利用頻度は低いが,なくてはならない資料のはず.背表紙の色が揃っているから見栄えはいいが.

いくつかの仮説が浮かび上がる.

  1. 郷土資料,灰色文献など通常の流通ルートに乗らない図書は扱わない.もしくはノウハウがない.
  2. アーカイブは重視しない.もしくは行わない.

共同事業体の一つ,CCCはTSUTAYA書店なども手がけ,そのコンセプトは以下とWebサイトにはある

CCCはホログラムのように変化する時代と私たちのライフスタイルに対して、店舗、オンラインサービス、カードサービス、One to Oneサービスなど、生活のあらゆるフェイズを通じ、「自分らしさ」=「My Style」を持っている人々へ、新しい「ライフスタイルの提案」をしつづけることで、「ヒトと世の中をより楽しく幸せにする環境=カルチュア・インフラ」をつくっていきます。

なるほど,「ライフスタイルの提案」のために顧客の「「自分らしさ」=「My Style」」を知る.その手段としてのTカード.毎朝ファミリーマートでTカードを出してその日の昼食を買う図書館退屈男には,どんな「ライフスタイルの提案」をしてくれるのか.

既存の流通経路には載らない情報資源,たとえば先の「相模鉄道四十年史」はCCCの「ライフスタイルの提案」の対象としてもらえるのか.それがかなわないから,手の届かない書架に別置して可視性をあえて下げているではないか.これらの情報資源は通常の流通ルートには載らず,「その図書館にしかない資料」になりえる.「相模鉄道四十年史」のCiNii Booksでの所蔵館は16館.だがTSUTAYA書店は全国に展開し,おそらく同じ属性を持った顧客に対しては同じサービス,いや同じ「ライフスタイルの提案」としてどこでも買える図書を販売するだろう.

TSUTAYA書店ではおそらく全国どこでも同じ本が買える.いや,同じ本しか売っていないのか.

図書館の運営に同じ手法を当てはめるとして,CCCが掲げるところの「ヒトと世の中をより楽しく幸せにする環境=カルチュア・インフラ」がTカードから得られた顧客情報,つまり「誰かが消費した」データから作り上げられているとすれば,所蔵して提供する資料に郷土資料や灰色文献の入り込む余地は,ない.それらは「どこでも手に入る消費物」ではないから.ならば廃棄するか文字通り手の届かないところに棚上げするのか.Tカードと貸出履歴が結びつけられる懸念も示されているが,そもそも結びつけることができないデータでは最初から持たないし,見せもしないということか.

CCCはその他全国で図書館の指定管理者として運営を行おうとしている.海老名市立中央図書館は武雄市に続き2例目,そしてCCCの新卒採用者向けページには,こうある

資料収蔵や図書貸出の場といった従来の図書館像を超えて、図書館、書店、カフェを組み合わせました。

全国どこでも図書館,書店,カフェを組み合わせた図書館ができる.それ自体は否定しない.だが,そこで得られる情報資源は均質なものになるだろう.資料の質とその運用を全国で均質にするには,特殊な資料群を切り捨てるのもやむなしなのか.

図書館でのレファレンスでは,図書は提示しても「正解」は利用者が選択するもの,という前提がある.一方,CCCは図書館で「ライフスタイルの提案」を行う.そこに利用者の選択の余地はおそらくない.書店が複数あり,それぞれでライフスタイルなり何なり提案するのは自由だ.選ばれなければ淘汰されるだろう.選択する者が一定数いるからこそ,蔦屋書店も存在できている.

 

日本全国に次々に同じ顔と資料を持った図書館ができる.一定の価値観で選択された資料を所蔵し,貸出と閲覧と購入ができる図書館.それはおそらく図書館ではない.ただの書店だ.


長尾館長、ありがとうございました

よく、大きな出来事で「歴史に残る」という表現があります。今回は「(我々が)歴史に残す」と言うべきでしょう。その意志を継ぐ、と言う意味で。

長尾真国立国会図書館長の辞任が2012年3月30日に参議院議院運営委員会で承認されました。後任は大滝則忠東京農業大学教授(元国立国会図書館副館長)とのことです(第180国会参議院公報第49号平成24年3月30日(金)による)。

国立国会図書館長と言えば、2005年3月に国立国会図書館法が改正されるまで「館長の待遇は、国務大臣と同等とする。」とされていた重職。本当に雲の上の人で、前任の黒澤館長から2005年8月に感謝状を授与された時には緊張で足が震えました。広義には国立国会図書館支部図書館の分館に勤務する図書館退屈男のボスでもあるわけですが、姿を仰ぎ見ることすらままなりませんでした。

一方。長尾館長は、「フットワークが軽く、どんな集まりにも顔を出し若者の話も聞いて頂けるなど気さくな方であった」「長尾館長以前と以後に別れるくらい国会図は変わった」とtwitterなどで語られています(togatter「#長尾館長 ご退任」,「国会図書館館長 長尾真さん辞任」)。就任当初から、情報工学への知見を生かした電子図書館への取り組みなどから、今後の国立国会図書館に変革が来る、と大きな期待がありました。

そして2008年3月。当館に長尾館長ご視察の打診がありました。
事前に頂いた情報は以下の通り。

  • 見学のほか、取り組みの報告や職員との懇親もお願いしたい。
  • 支部図書館に関しての長尾館長の関心事は、現状把握と官庁資料の確実な納本。すでに霞ヶ関で何カ所か訪れている。
  • 懇談については、実際に業務に携わっている者からの意見聴取などを希望している。
  • 館長に対し、メールの送信による直接の意見具申や、係長クラスでも館長室で意見交換が行えるなど、以前より風通しは良くなった。
  • 積極的に原課、関西館など現場を見に来られている。

ええええ、「実際に業務に携わっている者からの意見聴取」って、なんですか?

これまで、国立国会図書館から視察に来る方は少なく、見える方も課長級が多く、まして館長がお見えとは前例があるわけがありません。さらに係長等と懇親とはもう「う、噂は本当だったんだどうしよう」状態でした。

弊社のトップでさえ、当館に来たことはありません。まして、地方の出先事務所まで足を運び、その上で実務担当者の意見を直接聞くなど、弊社ではまずあり得ません。

当日は、RSSでの新着受入情報情報サービスを初めとしたOPAC関連の当館の取り組みについてご説明をいたしました(資料はこのへん)。説明後、長尾館長から「大変におもしろい取り組みで、今後も期待しています。ありがとうございました。」とお声をかけて頂き、お名刺を頂戴いたしました。もう、本当にありがたく、かつうれしかったです。

自分の仕事が自分たちのボス…いや国立国会図書館長にも評価して頂けるものであった。そう認識できるだけでも、モチベーションは恐ろしく上がります。この年は4年に一度のシステム更新の年でもありましたが、期待に応えられるシステムを作るため、今なおしんどい中を凌いでいます。 

このような姿勢で様々な現場を訪れ、いろいろな方と意見を交わされたのだと思います。その上で「国立国会図書館60周年を迎えるに当たってのビジョン(長尾ビジョン)」のほか、「長尾スキーム」と通称される大規模な出版物のデジタル化とその先の未来像を描き、かつ国立国会図書館長として着実にこれらを実現する。5年の在任中に、国立国会図書館は、いや日本の図書館の向いている方向は確実に変わったと感じます。

職を辞した理由というのは寡聞にして存じ上げません。砂利道を舗装するどころか片側3車線の高速道路を造り、後進にその道を空けて頂いた、と勝手に感じています。あとは、この道で走り出すだけなのでしょう。そう考えると、なんだか勇気を頂いたように思います。長尾館長と出会い、お話しさせて頂く機会があった者は、皆そう思っていることでしょう。

これからも様々な形で図書館と情報流通の世界に関わり、ご論考をお聞かせ頂けることでしょう。それはおそらく、この世界にとって最強の援護射撃です。

直接言葉を交わしたことは片手で収まるぐらいの関係ではありますが、心から「ありがとうございました」と申し上げたい気持ちで一杯です。


このブログを始めたのは、2005年に館長名の感謝状を頂いた時からでした。そう思い起こすと、気持ちをブログにしたためずにはいられませんでした。あと2年待っていれば長尾館長から頂けたと思うとちょっと惜しい気もします。

今年もシステム更新が巡って参りました。ディスカバリーサービスは導入できるのか(金額的な意味で)、ひっそり試験を続けてきたeXtensible Catalogは公開できるのか、APIてんこ盛りの図書館システムは移行できるのか、Mendeley Institutional Editionの説明と画面は見たけど契約できるのか、などなど仕様を煮詰めている真っ最中でございます。


Mendeleyが来た日。

  Mendeley。いわゆる文献管理ツール。去年の今頃はそう思っていた。ところが。それはとんでもなく違う認識だったとしたら。

  話は今年、2011年2月に遡る。Bloomington, IN で開催されたCode4lib ConferenceでのIan Mulvanyさんの発表、"Mendeley's API and University Libraries: Three Examples to Create Value"で語られたのは、「MendeleyからOAuthで認証してリポジトリにアクセス」「MendeleyのMy Libraryから自分の文献をSWORDでリポジトリに投入」というAPIをバリバリ使った実装例の紹介と、APIコンテスト - "Binary Battle"。賞金は $10001
「なにこれすごい」と気づき、実はひっそりと動向をチェイス。情報源はMyOpenArchiveでおなじみ、@keitabandoさんのブログなわけですが。いつもありがとうございます。@keitabandoさんはMendeleyのAdvisor(日本には7名)でもあります。すてき。

  そして来る Dr. Victor Henning, Co-Founder & CEO, Mendeley Ltd. 来日の報。折しもWIRED日本版にMendeleyの記事「知のシェア – 学術論文における理論と実践」の掲載。なんというタイミングの良さ。第2回 SPARC Japan セミナー2011「今時の文献管理ツール」ワークショップでの講演のほか、別途に懇談の機会をいただきました。この場をお借りして、機会をいただきました関係各位、特に@keitabandoさんに心からお礼申し上げます。 

ワークショップの模様はtogetterにまとめておきましたので、こちらをご覧ください

 (超イケメンの)Dr. Victor Henning との2日間に渡る会談で明らかになった事項はこんな感じ。

これまでと現状:

  • 2008年に3人の学生のアイディアとSkypeアカウントからMendeleyは始まった。今では195カ国3万の大学・研究機関で、140万人(うち有償アカウント数千)が1億4千万近い文献をアップロードするまでになった。論文の重複はできるだけ除去している(たまに同定に失敗して重複している場合もあるそうです)。
  • Fundingと有償ユーザからの収益はあるが、まだ黒字にはなっていない。
  • 競合他社との最大のアドバンテージは「無償」であること。
  • 実は専任のサポート担当は1名。ただし、staff全員が定期的にサポート業務を行っている。CEOも例外ではない。ユーザの気持ちを掴むことが重要。我々はcrowdサービス。サポートもまたcrowd。advisorと一体になってサポートを行っている。
  • 大事なのでは機能ではなく、使っていて楽しいかどうか。Mendeleyは若いResearcherにとって使って楽しいツールとなっている。情報共有を簡単にするのが目的。
  • TogoDocのように、学際的論文を見つける必要性は高くなっている。どのような分野の研究者が使っているかがポイントになる。自分ならまず心理学を検索し、文献を登録する。時間とともに、生物学の人もその論文を見ることもあるだろう。その時は、学際的領域として心理学が求められている、ということになる。容易に探し出せるよう、厳密なカテゴリ分けはあえてしない。

近日リリースの機能など:

  • QuickSend。Mendeley Desktopから文献をDrag and Dropでメール送信。
  • Mendeley Suggest。ユーザが文献につけたタグ、Annotationなどを利用して、ドキュメント同士のsemanticなリンク生成とレコメンドを行う。amazonライクな手法に加え、MeSHも使用。
  • 図書館向けプログラム。Swetsと提携し、2012年1月に発表する。図書館向けの機能として、自機関のユーザの文献の利用動向などを把握できるツールなどを用意する。

今後の展開:

  • これまで蓄積した情報をもとに、iTunesのように論文をMendeley経由で購入するビジネスモデルを検討している。出版社からのメタデータや本文提供のオファーもあり、交渉を進めている。PubMedからは全文アーカイブの許諾は出ている。
  • 論文提供では PaperC DeepDyve と(Google Trendで)比較しても Mendeley の伸びは明らか。レコメンド用に、オープンソースのOCRを導入した。これでPDFの全文解析も行う予定。
  • 名寄せの問題。Mendeleyでも解決はしていないが、ResearcherIDORCIDとの連携により対応したい。

ということで、図書館向けプログラムの存在、また「論文をMendeley経由で購入」という新たな学術情報入手のアプローチが明らかになりました。確かに、文献の書誌情報をSNS上で共有したとしても、「入手ができない」というのはストレスになるはず。そこに出版社も目を向け、協同を働きかけているという事実。同じように、Springerが買収したCiteULikeはDeepDyveと連携しています。

90の座席がほぼ満席のワークショップでは、MendeleyのほかEndNote、RefWorksといった既存の製品のほか、生命科学者のための文献管理トータルソリューションツールのフリーソフトウェア、TogoDocの紹介もありました。こちらはPubMedと連携し生命科学分野に特化しており、登録済みの論文の「全文から」PubMedを検索し文献をレコメンドする機能付き。協調フィルタリングではなく、論文の中身から推薦する文献を検索とのこと。用語の違いはMeSHを使って吸収、正規化。これには Dr. Victor Henning も大いに興味を示したようで、ワークショップの席上でMendeleyのAPIを使ってのレコメンドの強化など、製作者の岩崎さん(東京大学)とのコラボレーションの提案がありました。「開発担当とコンタクトできるよう準備する」など、動きの早さがさすがです。

対するEndNoteとRefWorks。EndNote(文献管理)はWeb of Science(検索と関連文献表示)とResearcherID(成果公開と研究者間での共有)の役割分担と必要に応じたカスタムメイドな文献リストの作成サービス、きめ細かいユーザサポートをアピール。
RefWorksはAPIによるCMS(Moodleの対応実績あり)をインターフェースとした時間サービスとの統合やDspaceなど機関リポジトリとの連携、また大学などではアカウントを失わないよう卒業生プログラムを提供する、などのサービスがあるとのこと。
それぞれが求めるサービスから来る機能や性格の違いが把握できるワークショップとなりました。

そして今日の懇談というか会談。Researchmapでの名寄せ問題のほか、CiNiiとの連携はどうすれば。
以下、自分のデータベースとMendeleyとの連携方法。

  • RIS、BibTex、EndNote XML、Zotero SQLファイルからのインポート。
  • COinS(ContextObjects in Spans, OpenURL(Z39.88-2004)をspanタグを使ってHTML中に記述する手法)で書誌情報を書くとBookmarkletを利用したWeb Importerでインポートできる(CiNii対応済み)。
  • 上によらないボタンクリックでのデータ転送はAPIを使うか応相談。

そうか、COinSに対応しているなら、弊社のシステムはこんなこともあろうかとあちこちで実装済みだから…おお、インポートできた!すごいぞ図書館退屈男。でもWebページ扱いでインポートしている…だめだこれ、不具合報告を送らないと…ああ、仕事が増えた…。

Mendeley。文献管理ツールからこれまでにない論文入手とコラボレーションツールへの進化の到来と、Web2.0でうたわれた「リッチなユーザ体験」を本当の意味で体現して築いた新たな世界。彼らは本当に学術情報の世界に革命を起こせるのか。「図書館向けパッケージ」の実力如何。やはりエッジの利いたサービスは「※但しイケメンに限る」しか作り得ないのか(それ関係ない)。

会談しながら検索して気づきました。Code4Lib Conferenceで発表したIanさん、もとはNatureでConnnoteaを開発していたのですね(スライドあり)。WIRED日本版によればヘッドハントされたそうです。過去に図書館退屈男もインストールに取り組みその秘密も明らかになりましたが、最近OSS版の開発が止まっていたのはそういうことだったのかと今更気づく始末で。


うわ、半年ぶりにblogを書きました。図書館総合展でも催促をいただいたのに。Twitterにかまけてないでもうちょっと記事を書くようにしないといけません。

とはいえ、今回の一連の懇談でかなりの刺激を受けました。こんなことができるなんて、という驚きと、自分の今後の仕事について。


山が動いた(2) - 日本図書館協会はZ旗を掲げた

各図書館において、被災地からの要請に積極的に応えることが期待される。
(日本図書館協会, "被災者を支援する図書館活動についての協力依頼" http://www.jla.or.jp/earthquake/20110325.html, accessed 2011/03/26)

日本図書館協会が全国の図書館に対し、Z旗を掲げました。

日本図書館協会からの要請「被災者を支援する図書館活動についての協力依頼」の続報です。思ったより状況は速いスピードで動いており、3/26付け朝日夕刊9面に以下のように掲載がありました。Webでは http://www.asahi.com/national/update/0326/TKY201103260268.html (accessed 2011/03/26)に掲載がありました。

図書館の本を被災地に送信:ファックスやメールで
(以下概要)
・被災者からの求めに応じ公共図書館が蔵書の一部をFAXやメールで送信
・JLAの要請に応じ、権利者団体が合意
・日本書籍出版協会、日本文芸家協会が了承
・東京都立、山梨県立が(依頼を)受付(メールアドレス掲載あり)
・JLAは他の公共図書館にも送信体制を整えるよう要請

日本図書館協会、日本書籍出版協会、日本文芸家協会並びに出版社など関係各位のご英断に感謝申し上げると共に、Twitterにて最新の情勢をご教示頂き、また #jishinlib での意見を関係者にお伝え頂いた南様豊田様ほか各位にお礼申し上げます。

なお、南様は、以下のようにも仰っております。

図書館界の意見を集約して各方面に伝達・要望するJLAの役割にもう少し慮ってくれてもいいような気がするんですけど。あと、求めるだけじゃなくて自らも動くってこと。私は少なくともそう心がけています。
http://twitter.com/#!/cityheim/status/51020179710287872
(Twitter, 2011/03/25 05:31AM, accessed 2011/03/26)

我々も「自らも動く」を心がけないと、改めて心した次第です。

図書館退屈男、認定司書の件などでは遺恨あるところですが、この状況に至っては日本図書館協会の動きを支持すると共に、一会員として協力は惜しまぬ所存です。先の「各図書館」は専門図書館等も含む全館種と信じて。


山が動いた - 被災者を支援する図書館活動についての協力依頼

(追記)以下は出版社ほか権利をお持ちの方々へのお願いです。 多くの被災地の図書館では、被災者や復旧救援救護に必要な文献や図書が利用できません。被災地向けだけでも、図書館に公衆送信権及び送信可能化権を頂き、事後の電子媒体の廃棄を条件に図書館間の複写をPDFで、メール送信を認めて頂けないでしょうか。

と無理を承知で前回のこのblogで訴えてみたり、Twitterでつぶやいたり、MLで各方面に投げてから約10日。

「まあ、図書館退屈男は言うだけで交渉能力ないし」と思っていたら、思わぬところから動きがありました。3月24日(木)に文化庁で開催された「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」(第6回)にて、常世田委員より「日本図書館協会から被災地への公衆送信に関しての要望」として会議終了後にこの件についての説明と議論がありました。また、糸賀委員からも補足のコメントなどがありました。詳細は文化庁「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」(第6回2011/03/24)実況ツイートをご参照ください。すでに日本図書館協会では18日の評議員会でこの件は決定していたようです。

この場での議論で、著作権者側委員などから賛同の発言があったことなどから、法改正ではなく「図書館と権利者で調整」ではどうか、という方向性が見えました。

そして本日、3月25日付塩見理事長名で日本図書館協会より権利者団体に対し「被災者を支援する図書館活動についての協力依頼―被災地域への公衆送信権の時限的制限について―」として依頼文書が出されました。

日本図書館協会から依頼した許諾の内容と条件をまとめると、以下の通りです。

  1. 被災者や被災地の図書館や病院等の公共施設等、また救援活動を行っている団体や個人などへのメールやFAXなどによる複写物の送信
  2. 被災地の乳幼児への絵本の読み聞かせや、高齢者向けのお話し会の実施や、これらの中継、これらの様子を録音録画したものの配信、絵本の版面の公衆送信
  3. 上記2点は震災による被災のため資料、情報の入手の困難な期間および地域に限定し、被災地の復興がある程度なされた段階で複製物等は廃棄する

いや、#jishinlib で議論されていた内容がこのように日本図書館協会からの依頼となるとは、思っても見ませんでした。別にここで書いたから、ということはまずないと思いますが、喜ばしいことです。

上記の依頼文書のページには「各図書館において、被災地からの要請に積極的に応えることが期待される。」とありました。我々はこれに応えるべく、活動する時が来たのでしょうか。

この場にて再度お願い申し上げます。権利者各位のご協力をいただけましたら幸いです。


さて、地震発生前に寄稿させて頂きました原稿が、2本とも無事出版されました。よろしければご高覧ください。

また、第5回 Code4Lib JAPAN Workshop「めざせ!図書館発、USTREAM中継!~基礎から、集客ノウハウまで~」(コンテンツ作成コース)(リンクはtogetterによるTweetのまとめ)にて講師を務めさせて頂きました。ちょうど先の依頼文書の2に利活用できそうな内容でした。また、開催が関西と言うこともあり、しばらくぶりに余震の心配のない夜を過ごすことができました。お招き頂きました大学図書館問題研究会の関係各位にお礼申し上げます。


U40その後

2ヶ月近く放置してしまいました。FAOに出張してまで超絶スロートーク(英語なのでスロー。同時通訳?ないですよ、もちろん。)を展開したりなど、ネタはあるのですが記事に起こせないのが図書館退屈男クオリティ。

ということで、全国図書館大会U40プレミアセッションまであと一週間となりました。あっという間にやってきた、という感があります。

あちこちで善良なる図書館員を焚き付けて回った(と思われる)岡本@ARGさんのおかげか、気がついたら東京会場+全国10会場で同時多発的に250人以上の図書館員が参集するという前代未聞の事態になっていました。東京会場は満席ですが、その他の地域にお住まいの方はお近くの会場へどうぞ。もちろん、東京周辺からあえて地方会場に出席、というのも味があってよいかと思います。

これはいったい何なんでしょう。みんなそんなに図書館で働くことが好きなのか。

「U[nder]40」と謳ったこの会ですが、若手と呼ばれる世代がこれだけ集まることで何ができるのか。何が生まれるのか。何か変わるのか。想像すらできません。

まあ、翌日は普通に全国図書館大会にいったり通常業務に戻るのでしょう。何も変わらない日常。「ああ楽しかったなあ」と振り返る過去の出来事。

即効性はないでしょう。しかし、ここで生まれたコネクションや一切合財が、閉塞気味にあるこの世界をジワジワと変えることができるのかもしれません。遅発性の爆薬のように。

図書館退屈男。O40へのカウントダウンなう。おこがましいかも知れませんが、この会に協力したことが、後に続く次の図書館を支える方々への力となればうれしいです。


とはいえ、引退とかそういうのにはちょっと早いのがAround 40。今まであちらこちらで喋ってきた野望を、着々と実現に近づける努力をしましょう。図書館総合展のポスター展示では、お好きな方向けに弊社ブースではできないディープなあたりをご紹介できる見込みです。


認定制度の価値を問うな

日本図書館協会2009年度総会における第五号議案「専門職員認定制度について」の審議結果。

◆図書館界ニュース
○日本図書館協会総会等を開催
日本図書館協会は5月27日から理事会、評議員会、総会をそれぞれ開催した。
(略)
専門職員認定制度については、実施およびそのための組織の立上げを内容とする提案であったが、総会においては保留が多く採択されず、今後の扱いについては常務理事会で検討することになった。
(JLAメールマガジン  第456号 2009/6/3発信 より)

いざ蓋を開けてみたら、この結果であった。なお、総会資料によれば、事前の評議員会でも反対3、保留23、賛成多数とあった。また、総会では反対4、保留23、賛成21であった。

以下、配布資料による議事概要と、主な質疑をまとめました。当然ですが、以下は正式な議事録ではありません。仔細については追って「図書館雑誌」に掲載される議事録をご参照いただくことをお勧めします。また、事実と異なる場合は訂正しますのでお知らせください。

○議案の概要(総会資料による)

  • この制度は、図書館司書のキャリア形成や社会的地位の向上に資するものである。
  • 2008年度に中堅職員ステップアップ研修や図書館司書専門講座の受講者、全国の都道府県立図書館や政令指定都市立図書館の司書を対象にアンケート調査を実施。7割以上が制度に肯定的で、半数近くが申請意思あり。(提案者補足:都道府県立図書館を通じて県内市町村立図書館にも調査依頼を行った。)
  • 予備審査の申請を募集したところ、全国から81人が応募。これをもって制度への関心や期待の高まりを把握するとともに、認定制度の全体的な枠組みや認定作業の実現について確認。
  • この制度実行のため、「専門職員認定審査委員会」(常務理事1名以上を含む10名程度で構成)を設け、この委員会の元に専門職員認定審査会を置く。事務局長含む委員5名。
  • 認定対象者:アンケート結果を踏まえ、正規職員(司書有資格者)と非正規職員(司書有資格者)の双方を対象とする。
  • 対象となる館種:図書館法第2条に規定する公共図書館を対象。それ以外の館種への拡張、可能性については、今後の課題として検討する。(提案者補足:公共図書館への限定は苦渋の選択であった。)
  • 今後の申請見込:毎年度の中堅職員ステップアップ研修、図書館司書専門講座の修了者や全国の都道府県で行われる一定の研修の修了者等の申請を期待。以下の要素から10年程度は応募者数が保障されると考えられる。
    • 2008年に関西開催の中堅ステップアップ研修(1)で多数の受講があったこと
    • 予備審査において30歳代や40歳代の申請者が多かったこと
    • 制度の社会的認知の増加に伴い、申請者の裾野が広がることが想定されること
  • 今後、全国図書館大会で広報、制度説明を行い11月には募集、2010年3月の認定証交付を目指したい。

○主な質疑

  • 予備審査に応募したところ、「申請者が認定にふさわしいと判断された場合は上司による推薦状が必要」と予備審査会から通知があり驚いた。ならば最初から上司の承諾を得る必要があるのでは。また、承諾がなければ応募もできないのではないか。
    → 上司の承諾の有無については検討している。今回は予備審査であり、今後の審査会で検討したい。
  • 対象となる図書館が「図書館法第2条に規定する」と明記されているが、当館は第10条に拠って県条例により設立されている。齟齬はないか。
    → 対象となる図書館の書きぶりについては審査会で検討したい。
  • 我々の業務は国民のためのものである。制度の目的にもこの点を加えるべきでは。
    → 加える。
  • 現在職を失っていても認定される資格はあるか
    → 認定できる可能性はある。
  • この認定を受けた者が他部署へ異動したり、指定管理者へ転職するなどの可能性はないか。児童サービスの研修を受けても直後に他部署へ異動する例などを実際に見、危惧している。
    → 他部署への配転の問題はJLA全体の問題と考えている。また、自らを向上させたい、という志のある者が指定管理者となってもよいと考える。
  • 「専門職員」という語はすでに図書館法第4条に「図書館に置かれる専門的職員を司書及び司書補と称する」として現れている。司書不要、とはならないか。
    → この懸念から、以前の名称は「上級司書」としていた。具体的な名称は内部で検討したい。
  • 第4号議案で公益認定法人への移行の案件もあった。協会として今後は多忙となり、また財政事情も厳しい。このような時に実施すべきなのか。
    → 今だからこそ実施したい。実施に当たっては独立採算とし、協会の予算には影響を与えない見込み。

(以下図書館退屈男発言)

  • 「アンケート調査」であるが、認定要件となっている研修受講者に調査を行えば「制度に肯定的」となるのは自明。恣意的な調査ではないか。
    → 説明のとおり市町村立図書館、かつ経験の長い者に対しても調査を行っている。
  • 「今後の申請見込」であるが、10年勤続が認定要件であれば20歳代では申請できないので「30歳代や40歳代の申請者が多かった」のは当たり前。大事なのは、「これから10年勤務して認定される者」がいるかどうかである。年齢別、特に20歳代の図書館員の数は把握しているのか。若手の採用が控えられ、正規職員は少なくなっている現状をご存知か。それがなければ、「申請者の裾野が広がる」ことは期待できない。
    → 具体的な数字は把握していない。認定制度については10年程度での更新を予定している。今後、雇用される者の力となるような制度としてゆきたい。

 都合1時間の議事延長と40分を超す議論の末に採決となった。採決に当たっては委任状を出席と解すかどうか、また議長一任でない委任状の取り扱いについて議論があったが、上記のとおり採決において保留票が多かったこと、また評議員会でも保留が多かったことを重視し、本議案については再検討することを事務局が提案、これを議長が承認したため採決は持ち越された。

 以下、感想です。

 どうも練られていない、詰め切れていない案である印象を受けました。「公共図書館勤務者が対象」「10年で更新」など、今までの資料では公にされていない、あるいは読みきれなかった事項の存在や、質疑に対する答弁が明確でなく「検討する」などの表現が多く見受けられました。この場での提案が「専門職員認定審査委員会」の設置自体が主目的で、詳細な運用はこの委員会で検討するという前提であっても、ならば今までの検討は何だったのか疑問に思います。

 定款を厳密に解釈すれば、第36条(表決権の委任)に基づき提出された委任状(2000通以上)を含め総会が成立(第29条(総会の定足数)(会員の10分の1以上=4800*1/10=480人。当日出席者60余名。))しており、議事は出席者の過半数で決定されます(第35条(議事の決定))。従って、「議長一任」とされた委任状の数を持ってすれば、本議案の可決も強行できたのではと考えることもできますが、あえて取り下げとしたのは事務局の状況判断が正しかったのでしょう。

 「10年以上の勤務経験」という条件での予備審査応募数が81名。中堅職員ステップアップ研修(要勤務経験7年以上)の定員は30名。「これであと10年は戦える」と踏んでいるようですが、最初の81名が申請した後に続くものはいるのか、が課題でしょうか。また、「論文の執筆」が要件にありましたが、受け皿はあるのでしょうか。一概に比較はできませんが、医図協のヘルスサイエンス情報専門員(上級)の申請は第6回(2006/07)以降ありません。過度にプレミア化した認定制度は、資格自体の地位は高まりますが認知度はどうなのでしょう。もうちょっと低いハードルから初めてもよいのではないかと思います。もちろん、現状でまず試してみる、というのも有効であると思います。

 こうして考えてゆくと、ハードルを下げると司書有資格者と限りなく同等になり、「司書の専門性とは」というメタな議論になりそうです。現時点で考えられている資格認定制度が「司書資格+所定の研修修了者」を基本とし、「所定の研修」はその他の研修の修了や論文執筆、社会的貢献を持って代えられるものとすれば、これらの要件は誰でも認められる要素として客観的に加点した上で「司書資格だけでなく不断の努力を積んでいる」として認定が可能なのではないか、と考えます。現状の「研修を修了=一定の知見を得ている」とする「研修」なり代替要素の認知度の問題なのかもしれません。

 「研修により知見を得た」ことを認定するのか。あるいは研修によって高まった専門性を認定するのか。それは実務経験で得られた知見や専門性とは異なるのか。コミュニティや国民への貢献度を測るのか。問われたときに明快に説明できるのか。それとも、司書として持つべき知見や能力習得のためのキャリアパスの問題?

 自らが歩んだ道を含めて考えると、単に勤務歴や研修の参加だけでなくスポット的な貢献や活動などをウオッチしつつうまく拾い上げ、評価できる取り組みがあれば10年といわず5年でもいつでも「+αを持つ司書」として認定する、そんな制度があってもよいのかもしれません。

 「Library of the Year」はそのあたり柔軟ですね。そうか、アレの個人版を…。それこそどうやって決めればいいかわかりません。人気投票じゃないし。かつての「検索の鉄人」みたいに実技つき?フィルムコート張りとかレファレンスとか目録とか分類とかテーマ展示作ったりPOP張ったりブックトラックに乗ったり…。


ちょっとJLA定期総会に行ってくる。(専門職員認定制度的に)

応援してくださる方もいらっしゃる中、5月29日(金)の2009年度日本図書館協会定期総会に「出席」する旨のハガキを先日投函してきました。職場で緊急の用務が発生しない限り、出席の予定です。

専門職員認定制度について、4月30日に電子メールで質問を送付しましたがいまだ回答はありません。昨年の総会(社団法人日本図書館協会2008年度定期総会議事録. 図書館雑誌, 102(8), p572, 2008.8)での方針、

2009年5月に予定されている協会の総会で承認を得て2009年度から本格実施となる予定です。
(三村敦美. "専門職員認定制度特別検討チーム(第四次)の発足と今後の活動". 図書館雑誌, 102(6), p407, 2008.6)

に変更がなければ、今回の総会で最終的な制度案が提示されることと思います。
「公共図書館関係者でなければ対象外」という明記なき一点を除けば、実施そのものに異議はないのですが、どんなものか見てこようと思います。場合によっては、反対することもあるでしょう。

一会員に過ぎない図書館退屈男ですが、自らの認定にこだわりはありません。ただ、この制度が現に図書館に勤務する者全体に、そしてこれから司書を目指す人に有益なのか否か、そこを見極めたいと思います。

委任状に図書館退屈男の本名を書いていただいた方もいらっしゃいます。無駄にしないよう、しっかりと出席してきます。


さて、当面の予告です。


JLAに質問を出してみた

日本図書館協会に専門職員認定制度について質問を出してみました. 今日が締め切りだったので.

大まかな質問内容は以下のとおりです.

  • 認定制度及び予備審査の要件等に明記されていないにもかかわらず、「大学図書館や専門図書館といった公立図書館以外の館種やその他類縁機関」勤務者を認定対象としない理由とその根拠
  • 認定対象となる勤務先について、明記しない理由と根拠規定
  • 「大学図書館や専門図書館といった公立図書館以外の館種やその他類縁機関」勤務者に対し、
  1. 図書館で中核的な役割を持つ司書の資質向上
  2. 組織内における司書の専門性の認知
  3. 司書の社会的認知の向上

の3点について、今後どのような施策等をもってこれに資するのか、または貴会としてどのように捉えているか

大人気ないのかなあ、と思いましたが、明記されていない理由で認定対象外とした根拠は知りたいところです.「空気読めよ」というところなのでしょうか.

委任状に図書館退屈男の本名を書いていただいた方もいらっしゃるようですので、勤務に都合がつけば総会も参加予定です.


JLA「専門職員認定制度」の門はジブラルタルより狭い

帰宅したら日本図書館協会の「専門職員認定制度予備審査会」から審査結果が届いていました.

「別紙」によるその結果は!

別紙

[図書館退屈男] 様 (申請者番号:nnnnn)

 あなたの予備審査の結果は、以下のとおりです.
 
 大学図書館や専門図書館といった公立図書館以外の館種や
その他類縁機関に主として勤務されている方については、
認定の対象となりません.

                        以上

…….ポイントがどうこうではなく、勤務先で門前払いね。このblogで文句をつけたことが理由だったら笑う。履歴書を別に書かせるぐらいなのだから、最初から「だが断る」と書いてくださいよ.

鑑によると、「本審査が実施される場合には、申請にあたり下記のことが要件となります」とありました.

  1. 地方公共団体職員、あるいはそれに準じる者であること
  2. 司書資格を有していること
  3. 日本図書館協会会員であること

ここは、「1. 公立図書館で勤務していること」を加えるべきでは? この3要件だけでは「公共図書館以外の類縁機関は対象外」とは読めないぞ. それとも例外規定があるの?(そうか、「司書課程の講師経験」が調査にはあったから、大学の先生で要件を満たしていればOKなのかな.)

また、本文には「公立図書館司書だけではなく、他館種への広がりについての期待も寄せられましたことを申し添えます.」とあります. 「期待」ですか. 物は言いようですよね.

ある程度想定はしていましたが、こうもばっさり切り捨てられるとは.

「資格クレクレ厨」になる気はありませんが、日本の図書館界は館種別に動いていて、きっと上の人たちはそれでいいと思っているのかもしれないなあ、と雲の上に想いを馳せる氷雨の夜のお話でございました.


3/27 23:20 追記

総会で「認定制度実施中止」の緊急動議とか出したら通るのかな。みんなの委任状をオラに分けてくれ!(無理)