夏休み・・・のはず
CSSとのたたかい

大人の対応?

退屈の虫が騒いだので久しぶりに書いてみます。

9月19日付朝日新聞の記事「愛知万博マスコットの偽物登場 口コミで広がる」によれば、

愛知万博公式マスコット「モリゾー&キッコロ」の目と口が逆転した「キリゾー&モッコロ」がネット上に登場した。「モリコロ」ならぬ「キリコロ」。
(中略)
文化庁によると「著作権法違反の疑いがある」が、万博協会は「人気が全国区になった証し。実害もなく、目くじらを立てるほどでもない」。

とのこと。

これに対し、Copy & Copyright Diaryのエントリ「[文化庁]大人の対応と大人げない私 」経由で知ったのですが、栗原潔のテクノロジー時評Ver2のエントリ「大事なのは大人の対応」では、

著作権は、かなり強力な権利なので法律どおりに杓子定規に運用すると、殺伐としてしまいがちです。特許権や商標権はまだビジネスの世界だけの話なのですが、著作権は個人での利用に及ぶこともありますからね(小学生が学校のプールに書いたキャラ絵を消させた会社もありましたねー)。柔軟な大人の運用と言うのが大事だと思います。単なる一個人としての感想です。

として、万博協会が目くじらを立てなかったことが「柔軟な大人の運用」と評価しています。

で、私の目の前には、"(c) Japan Accociation for the 2005 World Exposition"と書かれたタグの付いたモリゾーとキッコロがいます。かわいいです。
タグから見ると権利はもう万博協会のもので、キャラクターデザインを手がけたアランジアロンゾさんの手を離れていると思うのですが、このことを知ったらどう思われるでしょう。

サイトには、※ 著作権についての大事なおしらせとして、

厳しく不正な使用を禁止し、これらの権利を守っていかなければなりません。

と書かれています。
また、著書「(有)アランジ アロンゾ」(角川書店,ISBN 4-04-883691-9)では、仕事をちょっとずつ広げていった時期に商品の卸先に騙され、

ある日、東京の知らない雑貨屋さんに入ると、おやおや、アランジのライターが。そうです、不正に商品をたくさんつくって、勝手に他の雑貨屋に卸していたのでした。つまり私たちは騙されたのです。当然ですが腹がたちました。頭に血がのぼります。
(前述、p29)

という目に遭い、不正に作った分の書類を提出させ、正当なロイヤリティを請求し、かつ「二度としない」旨の念書を取って一切の取引を停止したというエピソードが紹介されています。それだけ、自分たちの生み出したキャラクターに思い入れがあったのだと想像しています。

自分の生んだキャラクターに思い入れを持ち、その権利を自ら守ろうとすることは「大人げない」のでしょうか。確かに、この贋作の作者も特定できず、実損も算定できない状態では、権利者としてはこのような対応をするしかないのかもしれません。しかし、万博終了間際のこの時期にコメントを公表したこと、また法的措置も執らない様子を考えると、このままうやむやに、かつ適当に逃げ切ろうとしているのかと邪推してしまいます。

また、文化庁から「著作権侵害の疑いがある」と指摘されている画像を平然と掲載する朝日新聞の見識を疑います。

個人的には、これをきっかけに、「公的機関にはもうキャラクターデザインを提供しない」とアランジアロンゾさんが思い、さまざまな場所で作品を見る機会が減ることを恐れています。第三者の杞憂かもしれませんが。

アランジ アロンゾのグッズは品質の割に値付けが高い(気がする)、扱っている店が少ない、などと不満もあります。でもカッパくんは好きです。これじゃ子供といわれても仕方ありませんね。

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