Previous month:
2009年2 月
Next month:
2009年4 月

2009年3 月

JLA「専門職員認定制度」の門はジブラルタルより狭い

帰宅したら日本図書館協会の「専門職員認定制度予備審査会」から審査結果が届いていました.

「別紙」によるその結果は!

別紙

[図書館退屈男] 様 (申請者番号:nnnnn)

 あなたの予備審査の結果は、以下のとおりです.
 
 大学図書館や専門図書館といった公立図書館以外の館種や
その他類縁機関に主として勤務されている方については、
認定の対象となりません.

                        以上

…….ポイントがどうこうではなく、勤務先で門前払いね。このblogで文句をつけたことが理由だったら笑う。履歴書を別に書かせるぐらいなのだから、最初から「だが断る」と書いてくださいよ.

鑑によると、「本審査が実施される場合には、申請にあたり下記のことが要件となります」とありました.

  1. 地方公共団体職員、あるいはそれに準じる者であること
  2. 司書資格を有していること
  3. 日本図書館協会会員であること

ここは、「1. 公立図書館で勤務していること」を加えるべきでは? この3要件だけでは「公共図書館以外の類縁機関は対象外」とは読めないぞ. それとも例外規定があるの?(そうか、「司書課程の講師経験」が調査にはあったから、大学の先生で要件を満たしていればOKなのかな.)

また、本文には「公立図書館司書だけではなく、他館種への広がりについての期待も寄せられましたことを申し添えます.」とあります. 「期待」ですか. 物は言いようですよね.

ある程度想定はしていましたが、こうもばっさり切り捨てられるとは.

「資格クレクレ厨」になる気はありませんが、日本の図書館界は館種別に動いていて、きっと上の人たちはそれでいいと思っているのかもしれないなあ、と雲の上に想いを馳せる氷雨の夜のお話でございました.


3/27 23:20 追記

総会で「認定制度実施中止」の緊急動議とか出したら通るのかな。みんなの委任状をオラに分けてくれ!(無理)


CiNiiはRDFへ舵を切った

4月1日からリニューアル予定のCiNiiの試験公開が始まりました。"ciexam"というホスト名すらカコイイ。examですよexam。青くなりそう。

インターフェースが変わったことはもちろんですが、Cinii_opensearch Firefoxでアクセスすれば、

ほら、「俺はOpenSearchできるぜ!Come on!」と訴えている!
(青くなった矢印クリックで"CiNii Opensearchを追加"と出ます。)

しかも、「CiNiiのAPI(1)-OpenSearchについて」によれば、OpenSearchの出力はxhtml、RSS、ATOMで出力可能。つまり、RSSなりATOMの検索結果をフィードとして登録しておけば、新着通知も受けられるなんて素敵仕様さ。

http://ciexam.nii.ac.jp/naid/40016242883/rdf

でXML出力です。リンクに rdf と書き足すだけ。これは中身が濃いXML。

出力されるRSSには、XML名前空間としてDCのほかPRISMなどが使用されています。ticTOCsプロジェクトで提案された構造に近いですね。(参考:電子ジャーナルの目次RSSを集約・配信するticTOCsプロジェクトの経験から得たRSSの要件. カレントアウェネス-R. 2008-11-21

検索機能としては、結果一覧に加えて「関連著者」や「関連刊行物」などを出力する流行の機能もあり。PDFがあると結果一覧でもうリンクがあります。全文リンクが分からなかった今までのCiNiiに比べるとこれは便利。

関係者の皆様、素晴らしい出来です。ここで褒めても伝わらないかも知れませんがあーくやしい。


[3/10 追記]

開発者のblog、大向一輝. "次期CiNiiの試験公開をはじめました". 清澄日記, 2009-03-10によれば、

OpenSearchのリファレンスにはRSS 2.0とAtom 1.0の例が書かれていることが多いのですが、RSS 2.0を削ってRSS 1.0を入れたのはセマンティックウェブ屋のこだわりです。また、書誌パーマリンク(論文の詳細情報)の内容はRDFで入手することができます。このRDFでは著者情報がFOAFで記述されていて(簡単なものですが)、ソーシャルグラフの抽出に使えるようになっています。あと、検索結果のページと書誌パーマリンクはXHTMLに準拠していて、それぞれxFolkとhAtomというマイクロフォーマットを埋め込んでいます。どう使われるのかはまだ想像がつきませんが、いいアイデアを募りたいところです。

とのこと。 xhtmlはスルーしていたけど、http://ciexam.nii.ac.jp/naid/40016242883/ のソースを読む。読む。読む。

…本当だ、さりげなくマイクロフォーマットが埋め込まれている! なんてセマンティック!今後の文献検索サービスの方向性を変えそうな実装です。


で、弊社ですが…。

さらに諸々が遅れておりOPAC2.0と言い出したくせになんだよ、という状態です。指をくわえてどころでなく、体育座りで背中を丸めて世間を眺めています。



書誌レコードにゴーストは宿るのか

 システム更新に伴う図書館システムのデータ同期作業がほぼ終わった(はず)。同一ベンダの同一DBMSなので、データを右から左に移すだけの作業ではあるが、同期が取れないと貸出中の資料のステータスが変わったりするなど運用上のダメージは大きい。同期作業中は新旧両システムに人間の手が加えられないよう、データベースはロックされ検索はもちろん一切のデータ追加もストップする。

 最初のシステムを構築した1996年以来蓄積されてきた、-いや各機関で「桐」やらDBaseなどで管理していた時代を含めるともっと古い-何万件もの書誌データたちがハードウェアやDBMSのくびきを解かれ、純粋なデータの奔流となってネットワーク上を移動する、4年に一度の機会。

 これらデータの呼び出し方法も、1996年のCUIのみから2000年にWebを追加、新システムではこれら対話形式のインターフェースに加え、OpenSearch、SRW/SRU、OAI-PMHによる機械同士のデータのやり取りをサポートする。だが、これらの機能も、肝心な書誌レコードがなければお飾りに過ぎない。

 移動する書誌レコードたちは何を思うだろう。人間の気まぐれで4年に一度移動を強いられることは不満だろうか。それとも、システムに閉じ込められずに「出口」が徐々に増えてゆき、自由が増すことを歓迎してくれるだろうか。

 書誌レコードは流動する。誰かがどこかで作成した書誌レコードが、時に複製され各種のMARCとなって全世界を駆け巡る。TRCMARCはOCLCに提供され、NACSIS-CATは諸外国のMARCを参照用に流用できる。NDL-OPACのデータはこの2月からダウンロードが可能になった。共通するのは、世界のどこかの図書館システムのハードディスクに収まってそこで終生を過ごすこと。

 器であるDBMSやハードウェア、検索インターフェースが変遷を繰り返しても、同一の書誌データを投入すればその図書館の目録システムとして機能する。ならば図書館システムの「主」は書誌レコードではなかろうか。

 書誌レコードや図書館システムに意思があるのなら、何を望むだろう。自身の進化か。自らの複製を外部へばら撒きたいのか。

 3月2日(月)12時に次の4年を担うシステムが稼動を開始する。外部APIの追加実装以外はほとんど変更はない。いや、業務系はもう変えようがない。

 少なくとも、書誌レコードが自ら今のシステムを捨てて移動する、そんなシステムにした覚えはない。


 「戦闘妖精・雪風」(「改」じゃないぞ)のラストシーンを読みながら、そんなことを考えてみました。中2病?