Code4Lib JAPANへの誘い - デジタル情報の最前線に立つ覚悟はあるか
2010/08/27
岡崎市立図書館の一件以来、司書のITへの対応力が問われている。
曰く、
- 図書館の本業は蔵書の貸し出しであり管理、あるいは子どもへの本の読み聞かせ
- システムに関する知識を個々の職員に求めるのは酷
- 司書は文系が多いから仕方がない
- 図書館では専門的な知識を有している人が乏しい
これらの発言に悪意は感じないし、仕方のないことだと思う。「本が好きだから」司書を目指し、職に就く者は多い。「ITがすきだから」「パソコンが好きだから」図書館で働く,という話は聞いたことがない。
しかし、図書館員はもうITの力なしでは業務はできない。カード式目録と膨大な冊子体の索引誌で文献を探す時代にはもう戻れない。書庫に眠る壁一面のChemical Abstracts(化学系文献の索引誌。年52冊+Index。1907-2009刊行)を繰る者はいない。我々はITがもたらした恩恵からは逃げられない。何より、利用者はそれを求めてはいない。図書館はもっと便利であれと言うだろう。
ならば立ってみようじゃないか。デジタル情報の最前線とやらに。そこに情報があり、利用者が欲するなら分類整理して提供するのが司書の仕事ではないのか。必要なツールがないのなら、自ら作ろうじゃないか。かつて様々な文献目録を編み、必要な書誌情報を一枚のカードに納めて見せたように。
何も一からプログラム言語を作り、基盤にチップを半田付けしてコンピュータを作れと言っているわけではない。インターネット上には自らの情報を好きなように見せ、共有できるさまざまなツールがある。まずは今そこにあるものを使おう。写真のアーカイブを公開したければFrickrがある。会議をライブ中継したければUSTREAMがある。自前でサーバを持たなくてもなんとかなる。
飽き足らなければサーバを用意して…余ったPCでかまわない…Wordpressを入れてblogを立ち上げる、Perlのモジュールを組み合わせて必要な情報を切り出すツールを作る。一台のサーバがあれば、どんなことでもできるような錯覚さえ覚えるだろう。
あとは誰に教えてもらうか、だ。新しいことを自分一人で続けるのはつらいことだ。他より先進的(と思われる)サービスを見つけ、立ち上げ、それを続けるのは孤独さえ感じる。こんな事をしているのは宇宙でたった一人だと。
今は違う。Code4Lib JAPANにそんな同志たちが結集する。一人じゃない。欧米より遅れているとか進んでいるとかじゃない。本家アメリカのcode4libと連携し、同じ夢を見て、ITで図書館サービスをよりよくするために肩を並べることができる。
図書館退屈男もアメリカの多くのsystem librarianの力を借りた。LibXを使いたいのでつたない英語で質問したら、快く答えてくれた。お礼に2.0の日本語表示を手伝った。統合検索用のインターフェースにxerxesを使いたくてメールを出したら、やはり親切にマルチバイトへの対応方法を教えてくれた。おかげでDatabase Quick Searchを立ち上げることができた。ソフトウェアに国境はない。仲間はどこにでもいる。
Code4Lib JAPAN Lift Off。デジタル情報の最前線へ。いよいよ8月28日(土)14時より品川にて開催。ご案内と参加申し込みは公式blogからどうぞ。
もちろんUSTREAMでも中継予定。アクセスは http://ustre.am/n2vL から。twitterハッシュタグは #c4ljp 。
品川から、手を携えて進まん。