図書館システム

LibXと対峙してみた (Catalog激闘編)

※この記事は2010/03/23に一部追加修正を行いました。

さて、日本のベンダを相手にしていないLibXにどうやってうちのOPACの検索を実装するか。

とりあえずソースを読むことにする。何か書いてあるだろう。昔はソースからxpiをビルドしていたわけだし。

古のconfig
ではCatalog & Databasesで設定できるのは、

# The catalogtype.
#
# It must be one of millenium, horizon, aleph, voyager, or sirsi.
# Or, it can be sfx, sersol, and bookmarklet.
# sersol does a search in Serials Solution's Journal Linker
# sfx does a search in SFX's Journal search interface driven by OpenURL.
# bookmarklet allows generic searches.  An example is below.

とある。bookmarkletがなんとなく使えそう。読み進むと、


# Search VT Electronic Theses and Dissertations
$catalog2.catalog.type=bookmarklet
$catalog2.catalog.name=VT ETD
$catalog2.catalog.url=http://scholar.lib.vt.edu:8765/query.html?qt=%Y&col=theses&charset=iso-8859-1
$catalog2.catalog.options=Y

のように、catalog.type を bookmarklet にして、URL中に検索後を埋め込む方法があるようです。この例では %Y=keyword. で、その他の検索項目は以下のものが使えます。

#       Use a ; separated list to change that.  The codes are
#       'i' - ISBN, 'is' - ISSN, 'a' - author, 't' - title,
#       'Y' - keyword, 'c' - call number
#       'd' - Subject

こちらのOPACにあてはめると、例えばタイトルの検索はURLで

http://opac.cc.affrc.go.jp/alis/summary.csp?TL=%t&TLopt=AND&TLKopt=&DB=all&kikan=1&Srt=TL&SELECTgroup=0&RANGE=50&SELECTkikan=0&LANG=JPN

となります。
設定方法は、Catalog & Databases 右から「Bookmarklet」を選択して、以下のように設定しました。

Bookmarklet Name
ALIS WebOPAC(Title)みたいに名前をつける
Bookmarklet URL Template
(先のURLを入力。タイトル検索だから TL=%t)
Bookmarklet Search Options
(検索対象を入力。タイトル検索だから t)

このようにして作成したアドインはTest Pageからインストールできます。例によって自己責任でお試しください。テスト用の項目もありますので、どんなことができるかがつかめると思います。SFXもご利用いただけます。なお、SFXは社外からはアクセスできないので実質的には利用できません。OPACのみお試しください。また、仕様は予告なしに変更されることがあります。

把握している点をまとめてみました。

  • インストール
    • FirefoxまたはIE8でで「Click here to install LibX AFFRIC/MAFFIN Edition」をクリックすると、自動的にソフトウェアがインストー   ルされます。許可を求めるダイアログが出ますがそのまま進んで下さい。
      Firefoxを再起動すると、プラグインが利用可能になります。
  • できること
    • ブラウザ上のツールバーから、ALIS WebOPAC、SFX、google scholar、SFX電子ジャーナルリストの検索が可能。
      SFXはPubMed ID、DOIからの検索も可能。
    • Webページ上のISSN、ISBN、PubMedID、DOIとおぼしき文字列について自動的にリンクを生成し、OPACやSFXにリンクします。
    • Webページ上の任意の個所を選択→右クリックでOPACやSFX、Google scholarを検索できます。
    • Webページ上の引用文献部分を選択→ツールバーの「Scholar」へドラッグするとSFX/Google Scholarに当該論文を検索に行きます。(時々失敗します。)
  • 未完成部分
    • ISSNとISBNの認識に失敗し、正しく検索されないことがあります。
      このような場合は範囲選択→右クリックでISBNを選択して検索して下さい。
    • ISSNについてはSFXでの検索をお勧めします。
    • SFX電子ジャーナルリストの検索が動いていません。今はリンクしているだけです。
  • アンインストール
    • Firefoxの[ツール]-[アドオン]から「LibX MAFFIN」を選択して「削除」を押して下さい。Firefoxを再起動すると削除されます。
    • IE7/8は[コントロールパネル]の[プログラムの追加と削除]からアンインストールできます。

結構使えそうです。日本のOPACも対象にしてはもらえないかと思うこのごろです。


LibXと対峙してみた (基礎設定編)

「巨人・大鵬・卵焼」も今は昔、リーグ優勝がかかった巨人戦も地上波の中継はなく、大相撲にもかげりが見える今、注目されるべきは卵焼き。これからは卵焼きの時代ですよ。出汁入りが好きです。

そんなこんなで9月も過ぎ、10月になりました。

9月は2009年3月カットオーバ予定のシステムの基礎設計のための委員会開催とそのネタの仕込などの準備でばたばたしていましたが、ちょっと手が空いたので仕込みに入りましょう。

Next-LのメーリングリストではFirefox用検索プラグインやiGoogle対応ガジェットなど「Library Gadget」の話題が今ホット(アーカイブをどうぞ)です。弊社のほか、広島市立図書館がgoogleツールバーボタンを作っていたり、Myrmecoleonさんは「簡単に図書館の蔵書検索ガジェットが作れるジェネレイター」を作られています。また、「Myrmecoleon in Paradoxical Library. はてな新館 - GreasemonkeyでAmazonから探せる図書館まとめ」もおすすめです。

で、こちらは1年上放置していたLibXに手を出してみました。

以前は敷居が高かったので放置していたのですが、最近になってブラウザ上で設定ができるEdition Builderで簡単にFirefox用アドインが作れるようになっていました。

大まかな手順は以下の通りです。

  1. 「My Edition」からEdition Builder上の自分のアカウントを作成
    メールアドレスとパスワードを入力すると、未登録の場合は登録用のボタンが現れます。
  2. また自分のEditionを作っていない状態なので、「All Edition」に戻って右側の「Build a new edition」から設定を行う。
    設定項目は以下。
    • Description
      • Edition名、短縮名、作成者のメールアドレスを設定
    • Shortcuts
      • ボタンからリンクするページ名とURLを設定
    • Catalog & Databases
      • ここがキモ。検索対象にするOPACやOpenURL Resolverを設定
        日本のベンダのOPACなどあるはずもないのでとりあえずGoogle Scholarを設定してみた。
    • OpenURL Resolvers
      • リンクリゾルバを設定。SFX、Webbridge、SerialsSolutionsが設定可能。
    • Proxy Access
      • EZ ProxyとかWAMを使用していたら設定するといいみたい。
    • Options
      • ロゴにする画像などの設定
    • File Managements
      • ロゴ画像のアップロードなど管理インターフェース
        アイコン用とダイアログで使う画像の2つをアップロードします。
  3. 設定が終わったら「My Edition」に戻って右側の「testing」とある場所をクリック。
    「Revision Test Page」から、設定したリンクリゾルバやOPACなどのテスト画面(Firefox、IE7へのテストインストールはこの画面から)へ、「Build Revision #1」を押すと設定変更を反映。
  4. 「Revision Test Page」でテスト、不具合があれば再設定、再度Buildという流れを繰り返す。
  5. 完成したら「Make Revision #1 Live」で公開用リンクを生成。これで公開用の.xpiファイルが生成されます。いったん状態が Live になると、設定変更はできません。新しいRevisionを作成する場合は、「Copy Revision #1 forward」で複製(=Revision #2)を作成してこれを修正します。

で、Catalog & Databasesには日本のベンダのOPACはないので、どうしたものか。OPACを検索するモジュールはJavaScriptで書かれているので、これを追加して設定ファイル(config.xml Revision Test Pageから見られます)すればOKかと思ったらさにあらず。

このあたり、次項に続く。


LIMEDIO V7にOPACWebサービス実装

 今日はリコーさんの「LIMEDIO Seminar2007」に行ってきましたので簡単にレポートを。

 今回のセミナーでは、常盤大の栗山准教授による講演「オープンアクセスの動向と大学図書館」のほか、「来るべき"Library2.0"に向けて」として、リコーの図書館システムLIMEDIOの今秋リリース予定の次バージョン、V7の概要紹介とデモンストレーションがありました。要約すると、Web2.0、Library2.0の流れを受けて、

  • 利用者からのインプットを活用し、情報を精査して利用者へ公開
  • Webサービスを活用し、利用者サービスの向上を図る

ことをLibrary2.0の大学図書館における実践と位置づけ、V7では以下の新規機能が実装されるとのこと。

  • OPACにAmazonから得た表紙イメージを表示
  • Amazon Webサービスから書誌情報を流用し、発注データ作成
  • OPACのWebサービス化
  • マイライブラリのWebサービス化

 MARC流用元としてAmazonを加える、というのも楽しげな機能ですが、このblog的にコメントしておかなければならないのはOPAC等のWebサービス化ですね。おそらく日本の図書館システムベンダでは初ではないでしょうか。詳細な仕様の公開や、導入館によるサービス展開が待たれます。

 OPACについては、当面はDublinCoreを基本に所蔵データを加える形でXML出力をサポートする、とのことです。MODSなどその他の要素も検討されたようですが、まずはDublinCoreでリリースし、利用館の意見などを加えて改良予定、と聞いています。最近では、横断検索への対応のためのWebAPI実装の要望や、実際に仕様書に「APIを実装すること」などと指定されているなど、図書館からのニーズも出てきた、と判断しているようです。

 マイライブラリのWebサービスについては、学内ポータルへ必要は情報を出力可能なよう、既存のシステムで出力されている貸出状況やSDI検索結果などを提供するようです。(こちらは詳しい話を聞きそびれました。)

 その他、7月4日付け日経産業新聞で既報となっていますが、リコーとユサコの業務提携についても発表があり、図書館業界的にはこちらも注目でしょうか。以下、リコーからのプレスリリースからの抜粋です。会場でのデモも実施されていました。

 今回の業務提携は、「Ex Libris社」製品のなかでも、これらの電子コンテンツに関連するシステム群の販売・保守活動をリコーとユサコが共同で行うことで合意したものです。ユサコがASP型の商品販売からシステム導入、保守サポートまでを一貫して担当し、リコーはサーバー型商品の販売を担当、システムの導入や運用サポートに関してはユサコが実施することになります。

 リコーは、自社開発の図書館システムLIMEDIO(リメディオ)を国内の大学市場を中心に販売してきました。同製品は学術書や論文集など、紙媒体で提供される学術情報に関して、業務の効率化と利用者サービスの向上を実現するシステムとして評価が高く、現在まで約200校で導入されています。今回、ユサコと共同で、電子化された学術情報に関する各種サービスを提供することで、紙媒体から電子コンテンツまでの幅広い学術情報に関するサービスを一括して提供してまいります。

 一方ユサコは、長年、電子ジャーナルやデータベースの販売を中心に、主に自然科学系大学を中心に学術情報の提供をしてきました。1990年代よりUNIXベースのデータベースサーバの提供でシステム販売に乗り出し、2001年10月にEx Librisの代理店としての活動を開始し、2006年10月からは、「S・F・X」のASP方式でのサービス提供を行っています。今回の合意により、こうしたサービスを人文学系の大学などにも広くご提案してまいります。

 いまひとつ日本で導入が進んでいないSFX/Metalibのてこ入れのため、図書館ベンダと提携して販売を進めるようです。なお、これは大学、教育機関向けで、既存の導入ユーザと国機関等(つまり弊社も)は現状通りユサコでのサポートとなります。

 その他、業務システムのWebアプリケーション版もリリースが予定されており、まずは閲覧管理(貸出返却業務など)、目録管理サブシステムがWebアプリケーション化されるそうです。その他機能については順次開発予定とされています。インターフェースはFlashを使用、リッチなユーザ体験ができそうです。

 Ex Libris社からもプレスリリースが出ています。また、さりげなく慶応大でのVerde導入の記事がありました。国内初とのこと。このような電子情報資源管理システム(ERMS)の導入もこれから進んでゆくのでしょうか。SFXも、将来的にはVerdeの一サブシステムとして統合される、との情報もあります。SFXのキモは電子ジャーナルの購読情報ですから、それを管理してくれるVerdeに統合されてゆくのはアリなのですね。


 午前中は国際ブックフェアにて秋篠宮殿下ご来臨の様子を拝見できるなどありましたが、この辺りは別エントリにて。

[7/6 追記]

 Ex Libris社からのプレスリリースについて加筆しました。