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お風呂でPSPでTV

 LocationFree LF-PK1の導入により無線LAN環境下での音声及び映像視聴環境を強化しつつある当家において、新規デバイスの投入によりさらなる利便性の向上が図られた。

 それはパイオニア製携帯電話ハンズフリー対応お風呂用ポータブルスピーカーHAPPY AQUA PHONE。防沫設計された本体に携帯電話やポータブルプレーヤーを収め、音楽再生や携帯電話の自動着信、通話が行なえる。防水ではないので当然ながらバスタブには沈められない。これでお風呂やプール付マンションのプールサイドでも安心して連れ合いが耽溺して現世に帰ってこれなくなっているミュージカル「エリザベート」とやらプラネテス」を堪能できることだろう。

 名前は携帯電話での使用を連想させる(Webページの写真でも携帯が中に見える)が、http://www.pioneer.co.jp/happystyle/phone/spec.htmlの図をご覧頂くとわかるとおり、携帯フォルダの部分にはPSPがぴったり入る。まるで計算されたようだ。ちょうど窓の部分にPSPのディスプレイが当るので、映像を見るにはちょうどよい。

 ただし、本体標準のステレオミニプラグにPSPを接続すると、コネクタ部分が内部のアンプ部と干渉しPSPの位置が斜めになり不安定な状態となる。こちらでは、0.5mの延長用ケーブルを使用し、図の上部(フロントケース上側)のスペースまでケーブルを引き、こちら側でPSPと接続することで安定した状態を確保している。また、本体内にPSPを収納するとPSPの操作は行えない。チャンネル等の設定は事前に行う必要がある。
 なお、収納可能な機器のサイズは 167(W) x 210(H) x 26(D) mmとされている。これは本体裏側での収納を考慮しての数値であろう。内部にACアダプタ等はない。

 ということでお風呂に持ち込んで視聴。これでGUNDAM0083でのデラーズフリートの勇姿オリンピックでの日本勢の活躍も優雅でリラックスした環境で見られること請け合いだ。くつろぎ感3倍にアップ。なお、本来の使い方と異なり、本体を横置きにするので不安定ではある。そこは各自の創意工夫で乗り切ってほしい。

 大きさであるが、割と大きい。面積はB5サイズ、厚さはこぶし大。
 購入はヨドバシAKIBA。8,190円(税込)。ただのステレオスピーカと箱のくせに高いように思えるが、それはきっと気のせいだ。

 パイオニアのWebサイトからはこの商品にたどり着けないので、廃盤品なのかもしれない。(未確認) スピーカのみの製品はあるが、窓付きのものはない。
 なお、"HAPPY AQUA PHONE"でGoogleに聞くといくつかのサイトでの販売が確認された。まだ在庫はあるようだ。(FAQでは「雑貨店を中心に販売しております。電器店では販売しておりません。」とあるのにヨドバシに店頭在庫があるところから何かを察する。)


 「DVDBox入手」と後輩に語ったところ、「それはオタですよ。危険ですよ。」と諭された。なんでも今週の「こち亀」でそういうセリフがあったとのこと。

 自宅に戻って確認すると、「DVDBoxを買うととまらなくなりますから」じゃないか。なんか違うぞ。引用は正確に。まあDVDBoxを買ったことには違いないが。0083。5.1ch再アフレコ版。ここには5.1chの再生環境はないが。


OPAC2.0を想う

 気がつくと、「原稿書きました」とか「発表終わりました」とかそういうエントリが多い自己顕示なこのblog。

 今日もつまりはそういう話なのですが、風呂敷を広げてみたので事前に世間様の反応を見てみるテスト。

 で、本題。OPAC2.0というものを考えてみました。次世代のOPAC。だから2.0。

 似たような名前で、次世代のネットワークの方向性を示す言葉として「Web2.0」というのもありますが、これはTim O’Reillyさんの論文「Web 2.0:次世代ソフトウェアのデザインパターンとビジネスモデル(前編)」(CNET JAPAN掲載の和訳版)や上原さんのblog近江商人 JINBLOGのエントリWeb2.0 とは -7つの分類と要素MAPなどを見ていただくとして、このような考え方を図書館サービス、特にOPACに応用して考えてみました。

 まず現状のOPAC。従来のOPACは、自館の利用者に所蔵資料の機械検索サービスを館内で提供するところから、インターネット上にまでそのサービスを広げています。気の利いたところであれば、文献複写の依頼や貸し出し予約までできちゃいます。便利ですよね。

 しかし、キーワードを入力し検索結果として書誌データの一部が返ってくるというシステムそのものについてはOPACの導入当初からなんら変わっていません。新着図書の一覧や雑誌の到着状況を知るにも、お知らせの紙やOPAC経由でした。

 なぜいちいちOPACを経由して、あるいは検索して表示させる必要があるのでしょう? 利用者の時間は節約すべきです。そこで我々はRSSによる配信を始めました。これで利用者に直接新着情報を届けるのです。特に雑誌の新着号の受入状況といった情報は、大学図書館など学術雑誌を扱う図書館では重要な情報となるでしょう。
 電子メールというアイディアもありました。しかし、それでは文献複写の依頼や貸し出し予約といった複合的なサービスには不適でしょう。仮に100冊の新着図書案内がメールで届いても、検索機能なしに通読することはありえません。RSSであれば、RSSリーダでフィルタリングして必要な情報のみをピックアップすることも容易です。

 他の情報との連携についても試行を行っています。例えば雑誌の目次情報です。今まででしたら「OPACで検索あるいはリンク集から雑誌を特定→(目的の号があれば)→目次情報へのリンクをたどり出版社のサイトで目次またはオンラインジャーナル閲覧」という流れになるでしょう。これをRSSを使うことで「RSSで雑誌新着号の情報を配信→ここから目次情報などを閲覧」という流れに変えることができます。たとえその雑誌のWebサイトをブックマークしていても、変更があった=新着号が発行されたという情報をウォッチするには、毎日でもアクセスする必要があるでしょう。これをRSSによる通知に代えることで、大幅な時間の節約になります。
 さらに、「雑誌新規発行号(図書室で受け入れたかどうかは不明)の情報」に「その号の目次情報へのリンク」さらに「複数機関の図書室での受入状況」をプラスしてRSSにより利用者に届けてはどうでしょう。Current Contentsなどのサービスでは、発行前の雑誌目次情報も検索することができますが、その論文を実際に読むには、その号が自分の研究所の図書館に届くかオンラインジャーナルの契約があればそれが読めるようになるまで待つ必要があります。その号が届いているかいないか。あるいは読みに行ける範囲にある他の研究所では届いているのか。それが分かるだけでもストレスを貯めずに済むのではないでしょうか。
 「図書室での受入状況」と「雑誌新規発行号の情報」については別々のRSSで提供していますが、XMLで連携させることによりこんなサービスも実際に行っています。データはOPACから出力させていますが、利用者はそれを意識していません。見ることができるのはRSSで配信されるこれらを組み合わせた情報です。

 こうして、今までのOPACというインターフェースにこだわらず、自由に他の情報を組み合わせて提供ができる、これも一つのあり方ではないでしょうか。

 もう一つ考えてみました。OPACで出力されるのは、大抵の場合データベースに収められている書誌情報の一部です。実はさまざまなコードやデータが出力されず隠れています。また、検索結果のダウンロードができても、構造化されていない場合が多いため、再利用するにはあまり適切ではありません。

 amazonを見てみましょう。通常のインターフェースの他にWebサービスが公開され,図書であれば書名,著者名,ISBN,表紙画像などの商品情報を取得し自分のblog等で自由に利用することができます。どうして図書館のOPAC上の書誌情報ではそれができないのでしょう?
 FireFox+Greasemonkeyの組み合わせで、インストールしたPCに限ってですがamazonの検索結果から自分の近くの図書館にその本があるかどうかを検索して結果をamazonの表示内に埋め込むスクリプトが公開されています。
 それなら、amazonとOPACを同時に検索させて結果を出すようにすればよいですよね。これはXMLで連携させることで、うまくいくかもしれません。しかし、現状のRSSの要素では、本の情報-書名、著者名、発行年など-をXMLで記述するには力不足です。今使われている書誌情報を詳細にXMLで記述する必要がありますが、MODSなどのメタデータ標準を使うことで解決できるでしょう。
 こうして詳細な書誌情報をインターネット上で流通可能な状態にすることは、図書館による公共サービスの提供の一つと考えられないでしょうか。

 共通した、あるいは近い構造を持つメタデータをXMLで流通させ、お互いに連携する。これにより、図書館間の横断検索や図書館以外のデータベースとの連携も容易になるかもしれません。また、構造化された書誌データを利用者が自由にダウンロード可能になれば、図書館屋が思いつかない新しいサービスが利用者の側から作られるかもしれません。GoogleMapsがよい例です。Googleが提供する地図情報をベースに、利用者が様々なサービスを自由に構築しています。

 図書館が持つ書誌情報を、今までのOPACから開放して利用者が自由に利用可能な環境を用意する。そして幅広く利用される。このような環境、考え方をOPAC2.0と呼びたいです。

 そんなことを考え、別の文章にまとめました。どうでしょう? OPAC2.0。

 私の考えの甘さや、至らない点がありましたらご指摘ください。
 ご意見をお待ちしています。


分館という名の下に

弊社は分館だ。社名のほかにその名の看板も掲げている。他館より予算とか規模とかサービス内容で大きく差があっても、分館は分館。それなりの立場というものがある。
日々、中央館の暖かきご指導ご鞭撻の元、法的な面も含めさまざまな便宜を受けている。一方、苦い思い出もある。大人の付き合いとはそんなものだ。

いま、そんな中央館の周囲が揺れている。いわゆる法人化という波だ。
国の機関の法人化が、本当に国益になるのか。正直、それはわからない。機関の性格や業務内容にもよるだろうし。
ただ、本当に国としてしなければならない事業とは何か。それを検討し実行に移さないことには、危機的な状況からは抜けられない。だが、その決定が単純な数値による評価や政治的な意図からなされたり、いわゆる声の弱いところから切れられたり、ということはあってはならないと感じる。
分館としては、中央館が独法化されれば影響は少なくない。サービスにも影響が出る。

こちらは情勢を見守っているしかなかったのだが、先日中央館からこの件に対する記者発表資料が公開された。中央館Webサイトのトップページからリンクされているので興味ある方はご覧頂きたい。

A42枚という短いものだか、「圧力」に簡単に屈せず、凛として自らのあるべき姿を示す中央館の姿勢が感じられた。日本の図書館が依るべき存在であると感じさせられる。

分館であるが故、対等な立場にはなりえないシーンもあるが、協調し応援してゆきたいと思う。


引けない「図書館戦争」

mixiで「図書館戦争」という小説が紹介されていた。なんでも超法規的検閲集団に対して図書館員が武装して戦う話らしい。図書館退屈男の出番があるのか。

おお、それは面白そう、ということで連れ合いがmixiで紹介されていたISBNでBK1を引いてくれたけどヒットなし。書名で引いてもヒットしなかったようだ。

自分のPCでamazonさんに聞いてみた。書名で引いて、「最新の出版年月」でソートして発見。
ふむふむ。あれ? ISBNちがうよ。こっちは「4-8402-3361-6」。

とりあえず調査。レファレンスだね。
GoogleでもamazonやBK1のデータがヒットするのだけれども、リンク先にはデータがなく。

今度はテクノラティさんに聞こう。ここからblogをターゲットに検索。

フムン。
StarChartLogさんのエントリ「『図書館戦争』の謎」によると、

どうやら出版社か取次かどこかで行き違いがあり、間違ったISBNが伝えられたようです。bk1でも最初は「ISBN4-8402-3362-4」だったとか。

さらに調べていくと、意外なことが判明。セブンアンドワイを調べたところ、電撃hp Volume.40 iconのISBNが「4-8402-3362-4」なのでした。電撃hpは720円。なるほど。書籍データに「40巻」とあるのも、電撃hp Volume.40のデータでもあると考えれば謎が解けます。

とのこと。うむ、どこかでMARCに間違ったデータが入力されていたのかな。
今日はNACSISが定休日でTRCMARCが引けないから確認できないなあ。
NDL-OPACはメンテ中だし。Webcatは…受入館なしね。

もし、MARCにミスがあったとして、それで受入しちゃったらどうなるのだろう。後から書誌データ修正のお知らせとかはこないだろうし。最悪、誰かが気づくまでそのまま流用されて全国の図書館やオンライン/オフライン書店に…図書館員的にはサイバーテロ。本当に戦争起こるぞ。

そんなわけで、基盤的なメタデータにミスがあると影響があちこちに波及する、という事例でした。


さ、原稿書こう。今度はOPAC2.0だ。言ったもん勝ち。