図書館タグクラウド再び
ちいさな図書館でできること

名古屋行ってきました

行ってきました平成18年度第2回東海地区大学図書館協議会研修会(3/7) 。「台湾ラーメン」が大学生協内のローカルメニュー(と後輩に聞いた)でなく、名古屋ワイドなソウルフードであることが確認できた出張でした。

ARGの岡本さんの基調講演はWeb2.0の様々なイメージを類別して解説いただいたと共に図書館が抱えるデータの開放についての提案あり。これはディスカッションで大きな話題に。

附属図書館研究開発室の寺井さんの講演は興味を引きました。利用者の情報探索活動について認知科学の手法を用いて実験した結果についての講演で、結果としては、探索の目的が明確になっているグループが探索課程の中で情報源をバランスよく利用する者が多く、問題の捉え方自体が大きく変化してゆくこと、また検索キーワードも増加かつ変化しより深い情報ニーズが発生するとのこと。

レファレンスにおいては調査の課程で情報ニーズが変化すること、また探索対象が寄り明確になることが経験的には理解していたが、実証的な実験でこれが明らかできる、ということに驚きと新たな視点を発見。

で、自分の講演。
つかみに、myrmecoleon氏謹製の「所蔵館マップ」(Google  MAPとWebCAT Plusを組み合わせ、ISBNを入力するとGoogle MAPで所蔵館を表示するシステム。今日見たらNDLの「ゆにかねっと」が追加されていてびっくり。)を紹介。まず「Web2.0はハッタリじゃない。図書館員の手の届く技術だ。」ということを見ていただく。

そして、Web2.0そのものは岡本さんに説明していただいたので、さらに印象付けるためにhttp://www.ark-web.jp/blog/archives/2006/04/clip_web_20_1.htmlを紹介、これでもう「リッチなユーザ体験」「ハッキングが可能」と聞いたらあのネコが浮かぶ人多数。
 
その他、いつものようにRSSによる書誌情報出力、これから派生したタグクラウド、blogへの自動投稿などについてデモと講演。タグクラウドは注目を集めていたように感じましたが、実装というか「見せ方」が難しいなあと職場に戻ってから再考。難しいなあ。

ディスカッション。やはり岡本さんの「図書館の利用履歴をうまく利用すべき。」との提案には、「図書館員の倫理綱領(1980/6/4 日本図書館協会総会決議)」中の「図書館員は利用者の秘密を漏らさない。」との整合性について議論となった。単館における貸出傾向等の把握は当該地域の読書傾向をも明らかにする可能性もあることから、複数館のデータを収集した方がよりより活用ができるのではないか、などの建設的な提案もあったが、「利用者履歴は活用すべきでない」という意見が多くを占めている印象を受ける。

岡本さんからは「ISPでは当然ながら利用者情報を多数持ち、それらは厳重に管理されている。民間企業にできて図書館でできない理由はない。」との発言があったが、正にそう感じる。
当方でも、貸出情報や文献複写依頼の記録が図書館システム上に、また利用者情報は全システム分が一括して管理されている。当然のことながら、利用者情報を管理するサーバ(他のサーバもそうですが)はアクセスできるマシン、人間、ネットワーク経路など様々な面で何重にもガードしている。「個人を特定できる情報」を切り離して取り出せば、とも思うが、どんな雑誌/文献が多く読まれているかを研究室単位で識別でき、それが公開されると研究分野によっては大きな影響があるだろう。TPOを考えてデータマイニングをすべきか。

RSS関連では、取得したRSSフィードの再利用について著作権の観点から問題はないか、との質問があった。
現状では、例えばThe University of Chicago PressのようにRSS Terms and Conditions of Use にて

2. Individuals may use the RSS Service for personal, non-commercial purposes only. All others must obtain our express prior written consent.

と明記している出版社もあれば、特段の記載がないところもある。
朝日新聞社でも

asahi.comのRSSは、個人でのご利用を前提としています。次のようなウェブサイトでのRSSのご利用については、有料にさせていただく場合がございます。詳しくはお問い合わせフォームからお問い合わせください。
(1)企業・官公庁など法人のウェブサイトやイントラネットでの利用
(2)宣伝PR・広告などが掲載されているウェブサイトでの利用
(3)asahi.comのRSSを利用したサービスの提供
(4)その他、営利を目的とすると判断される利用

と記載がある。
これに対しては、「利用制限について特段明記されていない場合については自由に利用できる、またその様な理解をデファクトスタンダードとして広める必要があるのではないか」と回答し、岡本さんからも同様の意見を頂いた。少なくとも、RSSでは発信者側でどこまで情報を載せるか、タイトルだけなのか全文を含むのかをコントロールできるので、そういう理解で進んで行くのがよい、という意見もあった。
Webページがいつのまにか「リンクしたらご一報ください」がマナーになってしまっていたようにならないよう、RSSの活用による様々な可能性が生かされるような方向で考えてもらえれば、と思う。組織的にデータベースを再構築されて販売、というのは避けたいけど。
ディスカッションも盛り上がり、大変勉強になった研修会でした。
お話の機会を頂き、ありがとうございました。関係各位にお礼申し上げます。


後から、講演要旨の作成用に当日の録音をmp3で頂いた。自分の声を聞くのは好きではないのですが、「つかみ」の部分で10分を要していたことが判明。それできっちり10分時間オーバ。やはり次回からはオチ重視で望むべきか。

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