Previous month:
2007年2 月
Next month:
2007年4 月

2007年3 月

ちいさな図書館でできること

鳥取からつくば目指して移動中。

川蝉さんの「図書館員もどきのひとり言」のエントリ、「情報管理2007年2月号より」でこんな文章を発見。

最後のほうに林さんとこの農林水産研究センターがかなりWeb2.0を実現してて、小さいところができるから、大きいところもできるはずといったことがあるのけど、小さいからできた、という面はないんだろうか?あと、実現できる担当者がいたということと。いや、実現できる担当者がいること自体が、その組織の才覚か?
まぁ、NIIや国会にそんな担当者がいないわけもないか。

引用元は

岡本 真. “「Web2.0」時代に対応する学術情報発信へ : 真のユーザー参加拡大のためのデータ開放の提案”.
情報管理. Vol. 49, No. 11, (2007), 632-643 .
http://dx.doi.org/10.1241/johokanri.49.632

このように組織や職員の規模もはるかに小さい農林水産研究情報センターでさえ、ここまでのことが実現できている。当然、真っ先にデータを開放すべき組織として挙げた国立情報学研究所(NII)や科学技術振興機構(JST)、国立国会図書館(NDL)に技術や労力の面で実現できない理由はない。

から。

 はい、その通りだと思います。小さい組織だからこそ職員のアイディアと企画も通りやすく、こういったことも実現できているのでしょう。それが目録やデータベース担当でなく、レファレンス担当という別部署の職員による試作を通じた提案であっても。当然、周囲への説得と理解と協力は必要ですが、その範囲が小さい、ということで。
 もちろん、「NIIや国会にそんな担当者がいないわけ」ではなく、彼らが本気になればもっと気合の入った、隙のないシステムを見せてくれるでしょう。その片鱗はデジタルアーカイブポータルでも見られます。

 では、「総合目録」を名乗ってはいるものの、専門図書館の集まりゆえに蔵書(灰色文献多数です)がかなり偏っている所蔵目録のAPIを公開して書誌が自由に取得できることに何の意味があるのか、Myrmecoleonさんご指摘の通り「ほとんどがNACSIS-CATにも加盟してるはずなのに,そっちではほとんど引っ掛からない」のはどういうことか、ちゃんとデータを提供すればWebCATだけで検索できるぞ、一箇所のサイトで統合的に検索できたほうが便利、などと言われそうです。また、「どこからリンクをたどって行ったらよいか分からない」という意見も頂きました。
 それでも、(たびたび取り上げさせていただき申し訳ないのですが)Myrmecoleonさんの「蔵書マップ」のように、APIを利用して横断検索を実現していただいているサイトもあるわけです。

 狙っていたのはまさにこれなのです。

 Webサイトの構造はよく「書籍」のメタファで語られ、設計されます。「表紙」から入って「目次」をみて「本文」を読む。しかし、それは検索エンジンにより「本文」に直接アクセスができるようになり、利用者は必ずしも「表紙」からリンクをたどる必要がなくなりました。
 検索サービスも同様だと考えています。「xxxxとyyyyが同時に検索できるのはhogehogeサービスだけ!」ではなく、必ずしも入り口が一つのWebサイトのみである必要はないと思います。あちこちのWebサイトから自由にデータベースにアクセスできるようにし、データベースへの入り口を遍在化させるのです。
 そのために件の総合目録にXMLで書誌データを返すAPIを実装しました。これは詳細な書誌データの開放のみでなく、先の「蔵書マップ」のようにさまざまなインターフェースからアクセスができるようにするための布石です。

 たった一つのインターフェースを利用者に押し付けることなく、利用者にマッチしたユーザインターフェースを自由に選択でき、それでも納得いかなければ自分で作ることもできます。昔の汎用機に接続されたダム端末経由の検索のイメージではなく、「インターネットらしい」検索サービスを提供したい、と考えています。

ああ、もう新幹線の発車時刻が近づきました。このエントリはここまでで。


[追記]

やっとつくばに着いたので追記です.

件のAPIですが、サーバの調整の関係で解説ページとは異なるURLで提供中です.
例としては

http://opac1.cc.affrc.go.jp/alis/xmlout.csp?ISBN={isbn}&DB=T&format={RSS10|RSS20|R2MODS|MODS}
http://opac1.cc.affrc.go.jp/alis/xmlout.csp?ISSN={issn}&DB=Z&format={RSS10|RSS20|R2MODS|MODS}

のようにして、RSS(1.0, 2.0)、MODS、RSS2.0+MODSで出力できます.
パラメータDBは T=図書、Z=雑誌です.


名古屋行ってきました

行ってきました平成18年度第2回東海地区大学図書館協議会研修会(3/7) 。「台湾ラーメン」が大学生協内のローカルメニュー(と後輩に聞いた)でなく、名古屋ワイドなソウルフードであることが確認できた出張でした。

ARGの岡本さんの基調講演はWeb2.0の様々なイメージを類別して解説いただいたと共に図書館が抱えるデータの開放についての提案あり。これはディスカッションで大きな話題に。

附属図書館研究開発室の寺井さんの講演は興味を引きました。利用者の情報探索活動について認知科学の手法を用いて実験した結果についての講演で、結果としては、探索の目的が明確になっているグループが探索課程の中で情報源をバランスよく利用する者が多く、問題の捉え方自体が大きく変化してゆくこと、また検索キーワードも増加かつ変化しより深い情報ニーズが発生するとのこと。

レファレンスにおいては調査の課程で情報ニーズが変化すること、また探索対象が寄り明確になることが経験的には理解していたが、実証的な実験でこれが明らかできる、ということに驚きと新たな視点を発見。

で、自分の講演。
つかみに、myrmecoleon氏謹製の「所蔵館マップ」(Google  MAPとWebCAT Plusを組み合わせ、ISBNを入力するとGoogle MAPで所蔵館を表示するシステム。今日見たらNDLの「ゆにかねっと」が追加されていてびっくり。)を紹介。まず「Web2.0はハッタリじゃない。図書館員の手の届く技術だ。」ということを見ていただく。

そして、Web2.0そのものは岡本さんに説明していただいたので、さらに印象付けるためにhttp://www.ark-web.jp/blog/archives/2006/04/clip_web_20_1.htmlを紹介、これでもう「リッチなユーザ体験」「ハッキングが可能」と聞いたらあのネコが浮かぶ人多数。
 
その他、いつものようにRSSによる書誌情報出力、これから派生したタグクラウド、blogへの自動投稿などについてデモと講演。タグクラウドは注目を集めていたように感じましたが、実装というか「見せ方」が難しいなあと職場に戻ってから再考。難しいなあ。

ディスカッション。やはり岡本さんの「図書館の利用履歴をうまく利用すべき。」との提案には、「図書館員の倫理綱領(1980/6/4 日本図書館協会総会決議)」中の「図書館員は利用者の秘密を漏らさない。」との整合性について議論となった。単館における貸出傾向等の把握は当該地域の読書傾向をも明らかにする可能性もあることから、複数館のデータを収集した方がよりより活用ができるのではないか、などの建設的な提案もあったが、「利用者履歴は活用すべきでない」という意見が多くを占めている印象を受ける。

岡本さんからは「ISPでは当然ながら利用者情報を多数持ち、それらは厳重に管理されている。民間企業にできて図書館でできない理由はない。」との発言があったが、正にそう感じる。
当方でも、貸出情報や文献複写依頼の記録が図書館システム上に、また利用者情報は全システム分が一括して管理されている。当然のことながら、利用者情報を管理するサーバ(他のサーバもそうですが)はアクセスできるマシン、人間、ネットワーク経路など様々な面で何重にもガードしている。「個人を特定できる情報」を切り離して取り出せば、とも思うが、どんな雑誌/文献が多く読まれているかを研究室単位で識別でき、それが公開されると研究分野によっては大きな影響があるだろう。TPOを考えてデータマイニングをすべきか。

RSS関連では、取得したRSSフィードの再利用について著作権の観点から問題はないか、との質問があった。
現状では、例えばThe University of Chicago PressのようにRSS Terms and Conditions of Use にて

2. Individuals may use the RSS Service for personal, non-commercial purposes only. All others must obtain our express prior written consent.

と明記している出版社もあれば、特段の記載がないところもある。
朝日新聞社でも

asahi.comのRSSは、個人でのご利用を前提としています。次のようなウェブサイトでのRSSのご利用については、有料にさせていただく場合がございます。詳しくはお問い合わせフォームからお問い合わせください。
(1)企業・官公庁など法人のウェブサイトやイントラネットでの利用
(2)宣伝PR・広告などが掲載されているウェブサイトでの利用
(3)asahi.comのRSSを利用したサービスの提供
(4)その他、営利を目的とすると判断される利用

と記載がある。
これに対しては、「利用制限について特段明記されていない場合については自由に利用できる、またその様な理解をデファクトスタンダードとして広める必要があるのではないか」と回答し、岡本さんからも同様の意見を頂いた。少なくとも、RSSでは発信者側でどこまで情報を載せるか、タイトルだけなのか全文を含むのかをコントロールできるので、そういう理解で進んで行くのがよい、という意見もあった。
Webページがいつのまにか「リンクしたらご一報ください」がマナーになってしまっていたようにならないよう、RSSの活用による様々な可能性が生かされるような方向で考えてもらえれば、と思う。組織的にデータベースを再構築されて販売、というのは避けたいけど。
ディスカッションも盛り上がり、大変勉強になった研修会でした。
お話の機会を頂き、ありがとうございました。関係各位にお礼申し上げます。


後から、講演要旨の作成用に当日の録音をmp3で頂いた。自分の声を聞くのは好きではないのですが、「つかみ」の部分で10分を要していたことが判明。それできっちり10分時間オーバ。やはり次回からはオチ重視で望むべきか。


図書館タグクラウド再び

 明日(もう今日だけど)は名古屋で追加公演講演。in 名古屋大学附属図書館。未来の首都だ。発表用のスライドや配布資料一式は送付済み。そしてデモ用のネタを仕込む。

 2月は資料作成→提出→手直し→提出...の無限ループに陥りつつ会議資料を作成、今日(もう昨日だ)で会議は一段落。あとは出張3連コンボ。名古屋の後は秋田と鳥取。3週連続。いずれも県立図書館等に赴き、行政部局と連携した施策についてお話を伺う予定。

 ということで新ネタに苦しみ、図書館タグクラウド(高機能プロトタイプ)の本番環境への実装を試みる。(今気づいた。1年も放置していたんだ。)
 多方面での利用を考慮し、JSONでの出力機能も実装されていたのだが、JSONのブラウザ側でのハンドリング、特にAJAXでカコヨク決めたかったのだが自分のスペック不足もあり叶わず。追って実装予定、ということにさせてください。

 とりあえずお見せできるものはできましたので、明日の研修会に参加される各位のご参考となれば幸いです。でもきっと基調講演のほうが人気出るだろうなあ。(といってみるテスト。他意はないです。はい。)

[2007/03/09 追記]

タグクラウドの実装ですが、発表当日夜から課内で「ちょっと見にくい」「インターフェースにもうひと味必要」ということで公開を一旦止めています。


嵐の中で輝いて

 関東は早々と春の嵐が吹き荒れましたが、今度こそJavaScriptとかAJAXとかJSONを学ぼうと思い書店に入るも、出てくるときに手にしていた袋に「AJAX+JavaScriptコマンドブック」はともかく「機動警察パトレイバーの秘密(新装版)」が入っていたのはなせなのか。

 そうだよな、篠原重工もシャフトも筑波や土浦に研究所があるはずだけどどこだよ、とか、あとリボルテック98式AVとかグリフォンの出来がよくて、零式も期待できるし買わなきゃとかそういう話ではなくて、問題は後藤隊長の項。p46。ここに突っ込むだけのために購入したといっても過言ではない。(カッコ内は前述書記載のコミックス掲載個所。丸数字は両括弧に変換。a, b, cの記号は筆者付与。)
 まず、

a. カラオケも好きで、『愛奴』というカラオケスナックによく出没するようだ。((15)97)

なぜここで突っ込まない。コミックに描かれた看板を見ただけでアドレナリン噴出でしたが。まあいい。次。

b. (前略)よく「おーていかちゃんす」というポップス調の曲を口ずさんでいるから、(後略)((5)179,(12)139)

ここもスルーだ。なぜ。
そして極めつけは

c. 新聞記事を調べながら「やまのような仕事」というフレーズを口ずさんでいたことがあるか、これはたぶん即興で作った歌だろう。((7)88)

 ここまで来ればこのblogの読者の方々ならお分かりだろう。

a.『愛奴』は1972年に結成された浜田省吾と町支寛二が所属していたロックバンド、
b.「おーていかちゃんす」は特注軽量マイクスタンド(とても欲しい)をブンブン振り回す様がカコイイ大友康平(というかHOUNDDOG)の「AMBITIOUS」、
c.「やまのような仕事」は浜田省吾の「J.Boy」。

 ということで、作者が日本のロックについて造詣があることは容易に想像できる。
 また、後藤隊長の年齢については記述がないが、「埋立地に飛ばされた」「切れすぎる」カミソリ後藤の名から、脱落したノンキャリア、かつ隊長という職から想像するに年代としてはおそらく40代、作品の舞台となっている時代が1990年代であることから、浜田省吾(1952年生)とはほぼ同年代と考えられる。また、浜田省吾のファンの平均年齢層は高い。故にa-cの想像についてもあながち間違ってはいないだろう。(作品の設定などについてはWikipediaがとても詳しい。)

他にも似たようなネタはあったような気がするのだけれども、もう一度読み返さないと思い出せない。うー。

で、結局この部分しか読んでない。[後で読む]


機動戦士ガンダム 第08MS小隊 5.1ch DVD-BOX (初回限定生産)はまだ買っていない。


[追記]

件の資料には、

つまり、イングラムVSグリフォンの戦いは、NEC(日本)VSアップル社(米国)の戦いの投影されたものでもあるのだ。

とある。(p.131)

グリフォンに実装されているASURAの詳細は分からないが、NEC対AppleよりはPC98+MS-Windows3.1(intel) 対 VMS(alpha)の方が自分にはしっくり来る。特に理由はないけれど。PowerPCとかと違う。ハードに特化した、というか。なんとなく。そんな感じ。