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2007年7 月

突入、Google.

…za…pipi…こちらスネーク、東京ビッグサイトに潜入した。ターゲットは西館に展開。開場間もないので邪魔者なしにコンタクト可能と推測。Over…za…。

………

 東京国際ブックフェアにひっそり行って来ました。実は初めてです。2ホール端から入りましたが、いきなり児童書コーナー。後ろ髪を引かれつつ奥野かるた店。渋いアイテムの数々。

 しかし今日の目的は、Google。Google booksのパートナーとして、図書館は食い込めるのか。そして弊社の生き残りを託すことができるのか。
 ブース到着。さすがに来客ゼロ。ラッキー。「book検索に図書館として参加したいのだけれども。」というと担当の方が来てくれた。米国本社から来日したそうだ。
 質疑を要約すると以下の通り。

  • 「まず大きな図書館から話を進めたいと考えている。具体的なパートナーは未定。中小規模の図書館は今後検討。」
  • (すでに12万件デジタル化済みと話したところ)「そのまま御社で事業を続けられるのがよろしいのかも。」
  • 「著作権はどうなっているか。」(自分のところの資料ならNo problem。)
  • 「ALAのような図書館関係の団体には入っているのか。」
  • (しばらくこちらの取り組みを説明して)「詳細が決まればこちらから連絡する。」

 と数分のコンタクトの後、他の出版社の方と商談に入られていました。どうも弊社クラスの図書館ではお気に召さないようで。連絡来るといいなあ。社交辞令うまいなあ。

 徐々に込み始めた会場を移動。周囲と緊張感と雰囲気が違う洋書バーゲンコーナーを抜け、図書館屋なら誰もが一度は読んでいる勁草書房をのぞきにいったところ、黒い人の山が。

………

……こちらスネーク、ターゲットとのコンタクトに失敗、転進中。前方に私服警備員と思しき集団を確認。VIPの護衛と推測。回避しつつ転進する。Over.

………

 で、反対側へ回ると各ブースのスタッフの皆様はスーツで直立不動。その視線の先には…秋篠宮夫妻だ! 皇室の方にお目にかかるのは初めてでなぜか緊張。紀子様が微笑んでくれたのはこちらだと信じ込んで入れ替わりに勁草書房ブースへ。あ、この間買った「知識資源のメタデータ」が20%引きになってる。こっちで買えばよかった。

 出口が近づいてきた。ふと目に留まる「ほんつな」ブース。「この連想検索のエンジンは何を…」とか質問したら「詳しい者を」といわれて代表者な方が来てくれた。椅子を勧められてなぜが商談に。

  • 本の対決」などの企画物が人気。「新作」と「古典」を競わせているが「ZOO 1」と「羅生門」では、意外と「羅生門」が20代に読まれていることが判明。早速系列書店で平積み販売するなど、得られたデータを販促に生かしている。
  • 連想検索はGETA。
  • 大阪屋の取次データを中心にしているが、「ほんつな」ではあまり商売気を出さすに立ち寄りやすいサイト作りを目指している。
  • 登録利用者は1万人を越えた。ただし、blogで書評を書いてくれる人は3,000人ぐらいかも。よく書いてくれるヘビーユーザが目立ってしまうが。
  • 図書館とのレビューや書誌情報のデータ連携は興味がある。そのうち御社にも伺いたい。

などど、結構長居をしてしまいました。「ほんつな」といえば対話型連想検索しか記憶になかったのですが、裏ではいろいろなサービス連携を考えているようで、興味深いお話が聞けました。

 この日の本務はLIMEDIOセミナーだったので、お昼前には撤収しました。そして移動。できれば一日見てゆきたかったです。

………

……こちらスネーク、東京ビッグサイトから無事離脱した。コンタクトに失敗したのが残念だ。大佐、Google Booksに関する情報はアップデートされていないのか。…そうか、慶應義塾図書館が日本での最初のパートナーか。了解。どうやら我々は陽動作戦に踊らされたようだ。帰投する。

………

 慶應大からのプレスリリースはPDF。まあ、全世界で26館しか参加していないのだから、パートナーは慎重かつ様々な利害とかを計算して選定しているのでしょうか。MARC21とAACRIIで目録とっているから米国でのノウハウがそのまま使えるとかそういう基準とかあるのだろうか。


LIMEDIO V7にOPACWebサービス実装

 今日はリコーさんの「LIMEDIO Seminar2007」に行ってきましたので簡単にレポートを。

 今回のセミナーでは、常盤大の栗山准教授による講演「オープンアクセスの動向と大学図書館」のほか、「来るべき"Library2.0"に向けて」として、リコーの図書館システムLIMEDIOの今秋リリース予定の次バージョン、V7の概要紹介とデモンストレーションがありました。要約すると、Web2.0、Library2.0の流れを受けて、

  • 利用者からのインプットを活用し、情報を精査して利用者へ公開
  • Webサービスを活用し、利用者サービスの向上を図る

ことをLibrary2.0の大学図書館における実践と位置づけ、V7では以下の新規機能が実装されるとのこと。

  • OPACにAmazonから得た表紙イメージを表示
  • Amazon Webサービスから書誌情報を流用し、発注データ作成
  • OPACのWebサービス化
  • マイライブラリのWebサービス化

 MARC流用元としてAmazonを加える、というのも楽しげな機能ですが、このblog的にコメントしておかなければならないのはOPAC等のWebサービス化ですね。おそらく日本の図書館システムベンダでは初ではないでしょうか。詳細な仕様の公開や、導入館によるサービス展開が待たれます。

 OPACについては、当面はDublinCoreを基本に所蔵データを加える形でXML出力をサポートする、とのことです。MODSなどその他の要素も検討されたようですが、まずはDublinCoreでリリースし、利用館の意見などを加えて改良予定、と聞いています。最近では、横断検索への対応のためのWebAPI実装の要望や、実際に仕様書に「APIを実装すること」などと指定されているなど、図書館からのニーズも出てきた、と判断しているようです。

 マイライブラリのWebサービスについては、学内ポータルへ必要は情報を出力可能なよう、既存のシステムで出力されている貸出状況やSDI検索結果などを提供するようです。(こちらは詳しい話を聞きそびれました。)

 その他、7月4日付け日経産業新聞で既報となっていますが、リコーとユサコの業務提携についても発表があり、図書館業界的にはこちらも注目でしょうか。以下、リコーからのプレスリリースからの抜粋です。会場でのデモも実施されていました。

 今回の業務提携は、「Ex Libris社」製品のなかでも、これらの電子コンテンツに関連するシステム群の販売・保守活動をリコーとユサコが共同で行うことで合意したものです。ユサコがASP型の商品販売からシステム導入、保守サポートまでを一貫して担当し、リコーはサーバー型商品の販売を担当、システムの導入や運用サポートに関してはユサコが実施することになります。

 リコーは、自社開発の図書館システムLIMEDIO(リメディオ)を国内の大学市場を中心に販売してきました。同製品は学術書や論文集など、紙媒体で提供される学術情報に関して、業務の効率化と利用者サービスの向上を実現するシステムとして評価が高く、現在まで約200校で導入されています。今回、ユサコと共同で、電子化された学術情報に関する各種サービスを提供することで、紙媒体から電子コンテンツまでの幅広い学術情報に関するサービスを一括して提供してまいります。

 一方ユサコは、長年、電子ジャーナルやデータベースの販売を中心に、主に自然科学系大学を中心に学術情報の提供をしてきました。1990年代よりUNIXベースのデータベースサーバの提供でシステム販売に乗り出し、2001年10月にEx Librisの代理店としての活動を開始し、2006年10月からは、「S・F・X」のASP方式でのサービス提供を行っています。今回の合意により、こうしたサービスを人文学系の大学などにも広くご提案してまいります。

 いまひとつ日本で導入が進んでいないSFX/Metalibのてこ入れのため、図書館ベンダと提携して販売を進めるようです。なお、これは大学、教育機関向けで、既存の導入ユーザと国機関等(つまり弊社も)は現状通りユサコでのサポートとなります。

 その他、業務システムのWebアプリケーション版もリリースが予定されており、まずは閲覧管理(貸出返却業務など)、目録管理サブシステムがWebアプリケーション化されるそうです。その他機能については順次開発予定とされています。インターフェースはFlashを使用、リッチなユーザ体験ができそうです。

 Ex Libris社からもプレスリリースが出ています。また、さりげなく慶応大でのVerde導入の記事がありました。国内初とのこと。このような電子情報資源管理システム(ERMS)の導入もこれから進んでゆくのでしょうか。SFXも、将来的にはVerdeの一サブシステムとして統合される、との情報もあります。SFXのキモは電子ジャーナルの購読情報ですから、それを管理してくれるVerdeに統合されてゆくのはアリなのですね。


 午前中は国際ブックフェアにて秋篠宮殿下ご来臨の様子を拝見できるなどありましたが、この辺りは別エントリにて。

[7/6 追記]

 Ex Libris社からのプレスリリースについて加筆しました。


オリコン2位の曲にまつわる悲劇とその後

 Amazonのレビューから。

★★★★☆ 元気になれる曲、でも…, (2007/6/10)
いいね、このノリ!テンションあがる曲、これ聴いてると楽しい気分になるネ。渋滞とかにピッタリ!でもこれ聴いてて事故ったら恥ずかしいだろうなぁ…

このレビューは参考になりましたか? [はい] [いいえ]

 そのCDを発売日前日にgetして翌日の出勤中に車内で聞いていたら、渋滞で停止中にものの見事に追突された図書館退屈男ですが。

 すごく参考になりましたよ。レビュー。その通りにならないように、下車するときにはオーディオはOFFにしましたが何か。

 明日の出勤時にはリベンジでこのCDをかけます。←結論。


 6月にお会いした方には大変ご心配をおかけしましたが、車両については本日板金修理が終わり納車されました。きれいに直っていてほっとしました。

 身体の方は、また通院中ですが首輪(商品名ポリネック)は外すことができました。おかげさまで首の回らない生活からは脱却できました。

 雨の季節が続きます。皆様も事故などお会いにならないよう、交通安全を祈願する次第です。


公務と理想

 NIIのCSIワークショップでのARGの岡本さんの発言、「能力のある方(図書館員)が、公的な形で表にあらわれてこないのは、大学図書館界の損失」問題について、時機を逸した感もあるが実例をひとつ。こちらは専門図書館なので多少事情が異なることもありますが。(ワークショップの資料はNIIのサイトで公開中。)

 当所でも研究所のごとく「年報」を毎年出しており、この時期になると昨年度の統計データや取り組みについて取りまとめて提出している。ちなみに、研究所や試験場の年報類にはたいていの場合名簿と人事異動記録、業績リストが掲載されているので、人の動きや業績を追いかけるには便利なレファレンスツールのひとつである。当所の場合は、個人情報保護の観点から今年から名簿類は削除になりましたが。

 で、発表実績なども業績として提出するので、とりまとめて持っていったところ、「あー、これは公務としての業績だから、出張扱いの分しか載らないよ。」と上司に言われ確認したところ、昨年度の発表実績全8回のうち出張扱いとなった3回分しか載せられないことが判明(ほか5回は年休で出席)。庶務担当係長に聞いても「年休での発表は公務ではないので載りません。」とのこと。発表すること自体は事前に「所外公表届」を提出し、いつ、どこで、どんな発表をすることについて申し出ているのに、記録にはならないとは。まあ、休日に自主トレしましたと思えばこれは仕方がないのかもしれないが、そういう小さいところで実績が公にならないこともある。もっとも、医図協のヘルスサイエンス情報専門員の認定用には全て使わせていただいた。

 自分の開発スタイルとしては、HVUDayの「いわゆる「能力のある方が、公的な形で表にあらわれてこないのは、大学図書館界の損失」問題について考えてみたよ。」で言及されている、

 勤務時間中にうっとうしい環境下にいるからこそ、そこから開放された深夜や土日に密度の濃い集中したもの造りができる、ということだってある。 (略)  予算も支援も職務権限もないからこそ、ゼロから自分の好きなように構築していけるのが楽しくてたまらない、ていうことだってある。

に近い。その成果は課内のメーリングリストで「こんなんできました。」と報告するが、ちょっと他人に触ってもらう程度。出来と反応がよければ自分の「持ちネタ」としておき、すぐ実施できそうなものは課内で諮った上で施行、大規模なものは次のシステム更新や改修の際までにブラッシュアップして仕様書に載せて実装する。無論、入札案件となれば調達委員会等で仕様書の内容などが問われるので、事前事後には新たな技術によるサービスについて周囲に理解してもらい、その意義と導入効果を認められる必要がある。RSS関係のコア部分はそんな感じで開発し、タグクラウドとかアプリ系は自分や同僚とで実装したり。事務方の仕事の基本は、「次の瞬間に担当者が消え去っても後任者により業務が恙無く継続できること。」だと思っているので、サービスとして完成すべきものはできるだけオフィシャルな文書の形で残し継承を図る。人事異動だってある。

 そうした試みを雑誌に掲載していただき、読んだ方から「ゼヒ詳しいお話を」ということであちこちから呼んでいただいた。今年も引き続いてお声がけをいただいている。一方で、庶務係はじめなど出張伺いを処理する事務方は、「講演での出張」の取り扱いについて検討、協議し、結果として「受託出張でOK」「悪いけど年休でGO」などの結論が出、それに粛々と従う。仕事とはいえ、結構苦労をかけていると思う。以前は担当が替わると考え方も変わってしまい困惑したが、今年度からは受託出張関連の社内規定が改正され、たいていの場合は旅費等先方払い謝金なしの受託出張扱いで赴けるようになった。ちなみに、旅費は当社規定に準じて積算した金額を伝え、先方から頂戴する形になる。旅費等は級号俸で変動するので、現在の職務に応じて妥当な金額が支払われるよう処理される。別に図書館退屈男が強く訴えたわけでも組合が何かしたわけでもなく、単に改正になっただけ。もちろん、講演の際の手続きや先方とのやり取りなど、面倒な処理の労を厭わず正しく判断してもらえることが一番ありがたいことである。原稿依頼についてもほぼ同様であるが、勤務時間外での執筆が基本。業務上のもの(所発行のニュースなど)でない限り、原稿執筆を理由に超過勤務を命ぜられることはない。

 実際に予稿を書いたり発表が近づくと課内のチェックが入る。講演であれば予定時間内に終わるか実演したり、また予稿などは内容が先方の依頼内容に合致しているか、などのほか、所としての公式のサービスか個人的な実験の成果による見解かは明確に切り分けを求められる。これらをクリアして予稿の提出、また発表に望む。

 ということで、一見自由に見える当所でも「公的な形で表に出る」ためにはそれなりの手続きが必要になる。また、他の事務方のサポートがないとどうにもならない。誰も邪魔をしようとしているわけではない。規定を柔軟に解釈しなんとかしようと努力しても無理なときもある。

 「講演依頼?そりゃいいことだ行って宣伝して来い。」という反応だけではない。「それほどのものならば内部の利用者にも広報しろ。むしろそっちが優先ではないか。」と言われる事もある。昨年度は目立って出張回数が多かったので、本業を疎かにしているのではないかとの疑念をもたれても仕方がない。そして、主たる顧客である農林水産関係研究者への広報も忘れてはならない。図書館関係の研究会等での発表も、これに間接的には寄与していると思っているが、直接的なアピールも時には必要と考えている。これは自分への課題。また、受託出張の規定上、受託可能な団体として「職務に密接に関係した」などさまざまな条件が課せられている。

 正直な気持ちを言えば、講演でも原稿でも頼まれれば(かつ無理なスケジュールでなければ)何者に阻まれることなく先方の希望に沿った形でまとめたい。ただ、組織の中の人として公務で出張する限り、いやそうでなくても、組織名+本名での発表は内容についてこちらがどう思っていようと組織としての考え方として捉えられることもある。よって発言を自重せざるを得ないこともある。

 近くは8月末に長崎で発表を予定。予稿は提出済み。業務と講演など対外活動の両立。公式のサービスと個人的見解の切り分け。年々状況は厳しくなるような気がする。そんなことを考える梅雨の午後。