山が動いた - 被災者を支援する図書館活動についての協力依頼
2011/03/25
(追記)以下は出版社ほか権利をお持ちの方々へのお願いです。 多くの被災地の図書館では、被災者や復旧救援救護に必要な文献や図書が利用できません。被災地向けだけでも、図書館に公衆送信権及び送信可能化権を頂き、事後の電子媒体の廃棄を条件に図書館間の複写をPDFで、メール送信を認めて頂けないでしょうか。
と無理を承知で前回のこのblogで訴えてみたり、Twitterでつぶやいたり、MLで各方面に投げてから約10日。
「まあ、図書館退屈男は言うだけで交渉能力ないし」と思っていたら、思わぬところから動きがありました。3月24日(木)に文化庁で開催された「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」(第6回)にて、常世田委員より「日本図書館協会から被災地への公衆送信に関しての要望」として会議終了後にこの件についての説明と議論がありました。また、糸賀委員からも補足のコメントなどがありました。詳細は文化庁「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」(第6回2011/03/24)実況ツイートをご参照ください。すでに日本図書館協会では18日の評議員会でこの件は決定していたようです。
この場での議論で、著作権者側委員などから賛同の発言があったことなどから、法改正ではなく「図書館と権利者で調整」ではどうか、という方向性が見えました。
そして本日、3月25日付塩見理事長名で日本図書館協会より権利者団体に対し「被災者を支援する図書館活動についての協力依頼―被災地域への公衆送信権の時限的制限について―」として依頼文書が出されました。
日本図書館協会から依頼した許諾の内容と条件をまとめると、以下の通りです。
- 被災者や被災地の図書館や病院等の公共施設等、また救援活動を行っている団体や個人などへのメールやFAXなどによる複写物の送信
- 被災地の乳幼児への絵本の読み聞かせや、高齢者向けのお話し会の実施や、これらの中継、これらの様子を録音録画したものの配信、絵本の版面の公衆送信
- 上記2点は震災による被災のため資料、情報の入手の困難な期間および地域に限定し、被災地の復興がある程度なされた段階で複製物等は廃棄する
いや、#jishinlib で議論されていた内容がこのように日本図書館協会からの依頼となるとは、思っても見ませんでした。別にここで書いたから、ということはまずないと思いますが、喜ばしいことです。
上記の依頼文書のページには「各図書館において、被災地からの要請に積極的に応えることが期待される。」とありました。我々はこれに応えるべく、活動する時が来たのでしょうか。
この場にて再度お願い申し上げます。権利者各位のご協力をいただけましたら幸いです。
さて、地震発生前に寄稿させて頂きました原稿が、2本とも無事出版されました。よろしければご高覧ください。
- 「専門図書館」246号「ごぞんじですか?CODE4Lib JAPANについて」
- 「カレントアウェアネス」通巻No.307 CA1735 「図書館員のIT知識とその向上-ITと向き合うために」
また、第5回 Code4Lib JAPAN Workshop「めざせ!図書館発、USTREAM中継!~基礎から、集客ノウハウまで~」(コンテンツ作成コース)(リンクはtogetterによるTweetのまとめ)にて講師を務めさせて頂きました。ちょうど先の依頼文書の2に利活用できそうな内容でした。また、開催が関西と言うこともあり、しばらくぶりに余震の心配のない夜を過ごすことができました。お招き頂きました大学図書館問題研究会の関係各位にお礼申し上げます。